名門・帝国ホテル、皇居外苑で「独り負け」の衝撃 競合は「コロナ前超え」、老舗が陥るジレンマ
宴会には大きく分けて3つの種類がある。企業の周年パーティーなどのスポット宴会、定時株主総会や賀詞交歓会といった恒例宴会、結婚式である。「歴史が長く、ブランド力もある帝国ホテルは恒例宴会が強い。スポット宴会で負けているのではないか」と競合幹部は分析する。
製鉄大手のJFEホールディングスや化粧品国内最大手の資生堂は毎年、帝国ホテル東京の宴会場で定時株主総会を開催している優良リピーターだ。バーチャル株主総会などが定着し、規模が多少縮小している側面はあるが、帝国ホテル東京にとって、恒例宴会は岩盤売り上げである。
一方で苦戦しているとみられるのが、周年パーティーや企業の報奨パーティーなどのスポット宴会だ。ただ、スポット宴会の競争環境は激化している。2019年にオークラ東京と東京會舘が大型改装を経て営業再開をするなど、競合である国内老舗のリニューアルオープンが相次いでいるためだ。
皇居外苑でしのぎを削りあう
これまで大型改装で閉館していた競合の宴会が別のホテルに流れていたが、「(2019年に競合が開業して以降)帝国ホテルは競合からスポット宴会を削り取られているのではないか」と先述の幹部はみる。
また、宿泊についても競合と比較すると見劣りしている。
皇居外苑でしのぎを削りあうパレスホテルは、2023年上半期は宴会売り上げこそコロナ禍前を下回っているが、宿泊部門で挽回し、売上高・営業利益ともに上回っている。同社の成長を支えているのが、復活した富裕層インバウンド客だ。2023年3~4月、パレスホテル東京では初めて平均客室単価が10万円を超えた。
一方、帝国ホテルは「宿泊は好調に推移しております」と業績修正の資料で説明しているものの、宴会の低迷を補うほどではない。
帝国ホテル東京は国内客の宿泊比率が5割程度とパレスホテル東京より高い。円安影響を加味してインバウンド客向けの値上げをしすぎると、国内客が離れかねないというジレンマを抱えている。
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