安川電機が「隣で働くロボット」を強化する事情 人手不足を背景に「協働ロボット」市場が拡大
世界的に見ても協働ロボットの需要は伸びている。国際ロボット連盟のデータによると、年間の産業用ロボット設置台数に占める協働ロボットの割合は、2017年の2.75%が2022年には9.95%に拡大している。
協働ロボットの世界最大手は、デンマークのユニバーサルロボット。2005年にデンマークの大学生3人が設立した比較的若い会社で、競合が少ない中でシェアを大きく伸ばした。現状でも「3~4割の市場シェアを占めている」(日本支社の担当者)。成長市場だけに既存の産業用ロボット大手も協働ロボットの市場投入を増やしている。
協働ロボットの競争のポイントは?
産業用ロボットで、ファナック、スイス・ABB、独KUKA(中国・美的集団傘下)とともに世界4強の一角を占める安川電機もそんな1社だ。2017年に協働ロボットに参入して以来、顧客開拓に努めてきた。
安川電機の村井真二・ロボット事業部ロボットコントローラ開発部長は、協働ロボット市場では主に3つの要素が重要になると説明する。
第1に限られたスペースに設置できること。もともと製造業にとって生産設備の省スペース化は重視される。とりわけ中小企業の工場も多くターゲットにする協働ロボットの場合、省スペース性は決定的に重要になる。
第2にトータルメリットの訴求。協働ロボットは、安全を確保するためのさまざまな機能を搭載しており、「同じ可搬重量の産業用ロボットと比べると高価になる傾向にある」(村井氏)。しかし、安全柵や柵内への侵入検知センサーなどの設置コストはかからない。何より省人化の効果が得られるため、それらトータルのメリットをどう訴えて、納得してもらえるかがポイントになる。
第3が導入のしやすさ。従来の産業用ロボットの設置工事では、工場の生産ラインを一定期間止めることも少なくなかった。周辺設備が不要な協働ロボットなら工事期間も短くて済む。ロボットに不慣れな現場が多いため、簡単に操作できるようにすることも競合との優位性に繋がる。
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