神宮外苑「再開発」は行き過ぎた資本主義の暴走か 「高層ビル3棟」の建設計画に国際機関も待った!

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だが、いまのところ、「理解と共感」が広がっているとは言いがたい。ヘリテージ・アラート発出に先立つ9月2日、サザンオールスターズの桑田佳祐氏が、新曲「Relay~杜の詩」を発表し、神宮外苑再開発への思いを、こう歌い上げた。

「誰かが悲嘆(なげ)いてた 美しい杜が消滅(き)えるのを」「いつもいつも思ってた 知らないうちに決まってる」

9月4日には「手わたす会」が「神宮外苑の樹木伐採は中止を!再開発計画は再考を!」とする声明を発表した。声明には86人の文化人らが賛同した。

俳優の秋吉久美子さん、歌手の加藤登紀子さん、作家の浅田次郎さん、椎名誠さんらも名を連ねた。元オランダ大使の東郷和彦さんも「胸がつぶれる思いでいた」とメッセージを寄せた。

メールや手紙で各界の知人・友人に呼びかけたところ、「(外苑再開発は)おかしいとおもっていたが、個人では声を上げることができなかった。いい機会をもらったと、次々に賛同者が増えていった」(大橋共同代表)という。

「資本主義vs.コモンの論理」の構図

再開発の見直しを求める経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏のもとには、賛同する22万4000筆超の署名が寄せられている。カップ氏はこうした声を代表して9月25日、文部科学省を訪れ、外苑再開発に参画する管轄下のJSCに対して計画の見直しを促すよう要望書を手渡した。2022年3月時点で5万1500筆超だった反対署名は、10万人単位で広がり続けている。

斎藤氏は、外苑再開発を「資本主義vs.コモンの論理」の構図と指摘する。東京都の人口の3.5%、49万人が「本気」になるのは時間の問題だ。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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