タンタン「返還期限は12月」人ならおよそ85歳の今 期限は延長される?現在は心臓疾患のため非公開

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心臓疾患は高齢が原因のことが多い。進行性の病気で、残念ながら治らない。タンタンの場合もゆるやかに進行しており、いかに現状を保つかが大切だ。

タンタンは、中国ジャイアントパンダ保護研究センター(以下、パンダセンター)から受け入れている。王子動物園は従来からパンダセンターへ月に数回、タンタンのデータを送って共有している。

パンダセンターの施設は、四川省の雅安など複数の場所にある。このうち成都にある研究センターから獣医師の王承東さんが2023年8月11日にやって来た。王さんは、かつて東京の上野動物園に来たこともある。

王さんは3カ月ほど滞在して、11月に中国へ戻る予定。タンタンの病状の把握や治療に関するアドバイスなどをしており、現在の症状について「落ち着いています。なんとかQOL(生活の質)を保っていきたいですね」と評価しているという。

このほか王子動物園は、連携協定を結んでいる大阪公立大学の専門家からもアドバイスをもらいながら、タンタンの治療を続けている(参照:『「パンダの心臓疾患は珍しい」神戸の旦旦を襲う病』)。

好物のリンゴですら食べない

最近のタンタンの主な食べ物は竹とサトウキビジュース。甘いものが好みで、サトウキビジュースが一番のお気に入りだ。サトウキビジュースは、薬を混ぜて飲みやすくするほか、心電図検査などの最中に飲ませてタンタンの気を紛らわせ、検査しやすくするメリットもある。

パンダ用の人工乳として開発された「PANDA MILK-10」(参照:『世界初パンダ専用ミルク「日本」で開発の深い事情』)にも薬を混ぜて与えている。

パンダだんご(トウモロコシ粉や米粉などを混ぜて蒸したもの)は、上野動物園のパンダたちがよくおいしそうに食べている。一方、最近のタンタンは、パンダだんごもペレット(栄養を補助する固形飼料)も食べないので、しばらく与えていない。

「もともとタンタンの好きな順番はリンゴ、ニンジン、ペレット、パンダだんごでした。今はリンゴ、ニンジンですら食べないことがあるので、下位のものは食べませんね」(梅元さん)。

タケノコは神戸市内でとれたものを与えているが、2023年は入手できる時期が7月半ばごろまでだったので、今後は中国産を買ってあげるか検討中。中国では日本と違い、1年中タケノコが生えている。もし園内のシホウチクなどのタケノコが秋以降に育ったら、それも与えられる。

タンタンが噛んで使わなくなったタイヤとタンタンの抜け毛は、王子動物園内の動物科学資料館で展示中(筆者撮影)

タンタンはタイヤに座ったり、タイヤで遊んだりすることもある。大きなタイヤは直径約100cmで、全長約110cmのタンタンとほぼ同じ。直径約40cmの小さなタイヤも与えている。活動量が減ったタンタンがタイヤで遊んで「少しでも運動になってくれれば」と梅元さんは願う。

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