「パンダの心臓疾患は珍しい」神戸の旦旦を襲う病 2022年5月に中国が専門家を派遣、今の様子は?
「タンタン(旦旦)の体調に合わせたタイミングで健康管理ができるよう、当面は観覧中止を続けるのが望ましい。活動量が安定して増えれば、短時間の公開を検討できます」
心臓疾患が判明して、公開が休止されている神戸市立王子動物園の雌のジャイアントパンダ、タンタンについて、中国から来日した専門家はこう述べた。
この専門家は、中国ジャイアントパンダ保護研究センター(中国大熊猫保護研究中心、CCRCGP)の獣医師の成彦曦(せいえんし)さんと飼育員の王平峰(おうへいほう)さん。タンタンの病状の把握と健康管理に関するアドバイスを王子動物園の職員にしながら、一緒に治療に取り組むために来園していた。
成さんは41歳で陝西省の出身、王さんは42歳で四川省の出身。2人とも国内外のさまざまな施設でパンダの飼育・治療に携わっている。来日前は、四川省にあるCCRCGPの雅安(があん)碧峰峡基地で成さん、臥龍(がりゅう)神樹坪基地で王さんが働いていた。
2人は四川省・成都の空港を出発して福州で乗り継ぎ、2022年5月11日に成田空港に到着。コロナ対策の待機期間を終えた5月15日から王子動物園に出勤した。タンタンのために来日することは2021年から調整していたが、コロナ禍で遅れた。
投薬治療を開始
タンタンは1995年9月16日に中国・四川省の臥龍で生まれ、2000年7月16日に王子動物園へやって来た。高齢になったタンタンは、高齢パンダの飼育に適した中国の施設で暮らすほうがよいとの中国側の判断から、2020年に中国行きが決定。同年7月15日がその期限だったが、コロナ禍で延期された(参照:『中国に帰る「神戸のパンダ」25年の劇的な半生』)。
その翌年の2021年1月下旬、週2回の定期健診の聴診時に、タンタンの不整脈と頻脈(心拍数の上昇)を王子動物園の職員が確認した。CCRCGPの指導に従い、聴診を毎日することにして、可能な検査も行い、健康状態の把握に努めた。
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