「伝説の編集長」がこっそり教えるお宝銘柄発掘術 四季報秋号は1年4冊の中で最も「お買い得!」

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こうした銘柄は、たくさん見つかるわけではない。ただ、多くの読者も100銘柄欲しいわけではなく、2〜3銘柄あれば十分だろう。数ではなく、そういった銘柄をいかに探せるか、だ。だからこそ、先に挙げた2つのマークにも注目してほしい。会社が上方修正を発表したのが7〜8月で、秋号の発売は9月。こうした会社は、この間は言うまでもなく、その後も株価が上昇しやすい。成功の確度を高めるため、四季報で増額の根拠を確認しておくことも必要だ。

ちなみに旭有機材の株価は調整を入れつつも、今年の夏まで上昇を継続した。秋号では、企業や記者の予想を基に、こういった銘柄を見つけられるのが醍醐味だ。時間がない人もトライできるだろう。すぐ見つけるためにも、第1四半期の上方修正について、今から整理しておくとよい。

24年から始まる新NISA(少額投資非課税制度)に向け、株価上昇というキャピタルゲインだけではなく配当などのインカムゲインで安定的に利益を得たい投資家も増えるだろう。これにより、連続増配や、減配したことのない銘柄は注目度を増している。

株式分割銘柄に注目

個人投資家が買いやすくなるよう株式分割を実施する会社も増える。実際、NTTJR東海など多くの企業が実施している。四季報には最低購入額が記載されているが、値ガサ株は株式分割をするかもしれない。“株の民主化”が加速する中、個人投資家の資金が集まりやすい銘柄も面白い。

「政策に売り無し」という点で新NISAはもちろん、PBR1倍割れ企業、クラウドや半導体の国産化、生成AIといった息の長い国策に関連する銘柄も見ておきたい。

セクターでは外食産業が面白いと思う。インバウンド需要に加え、海外で躍進する会社が増えてきた。「宇奈とと」を展開するG-FACTORYや「一風堂」が柱の力の源ホールディングス、「すき家」で知られるゼンショーホールディングスなど、挙げると切りがない。円安も追い風だ。

(構成 ライター 大正谷正晴)

山本 隆行 『会社四季報』元編集長

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やまもと・たかゆき / Takayuki Yamamoto

早稲田大学法学部卒。『週刊東洋経済』編集部に通算10年所属していたこともあるが、記者、編集者としての人生の大半を切った張ったのマーケット中心にささげてきた。『オール投資』『会社四季報』編集長、四季報オンライン編集長を歴任。著書に『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』。

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