ただ、資産残高比例のインデックス使用料はいかにも高くて、暴利だと思える場合がある。対抗手段を考えてみよう。
仮に、S&P500の中で時価総額の小さな銘柄を除外して「S&P499」のようなポートフォリオを作ったらどうか。あるいは、逆の操作で「S&P501」でもいい。「S&P」は名乗れないし、名乗る必要もないので、「アメリカの代表的な大型株○○○銘柄程度で運用する」とだけうたう。
S&P500にほぼピッタリとトラックして、信託報酬率がより低いファンドがあった場合に、投資家にとっては十分魅力的だろう。ポートフォリオはピッタリとマネする必要はないし、ポートフォリオをどう組んで運用するかは運用会社の自由だ。「おおむね同じで、コスト差あり」という状況は有利なはずだ。
もともとインデックスファンドは、運用成果のうえで特定の「インデックス」にありがたみがあるのではなくて、「アクティブ運用の平均」に近いポートフォリオをじっと持って、余計なトレーディングコストを払わず、しかも低廉な運用手数料であることが有利の源泉なのだ。
名付けて「平均投資有利の原則」だが、この有利性は、いわゆる「市場の効率性」の成立の有無に影響されるような脆弱なものではなく、「テラ銭をたくさん払うギャンブラーは不利だよ」というくらいの頑健な原理だ。
王道の進化とは?
だとすると、特定の「インデックス」にこだわる必要はなく、「平均的で、分散投資が行き届いていて、低回転率のポートフォリオ」を作って、じっと運用していれば、アクティブファンドに対しても、インデックスファンドに対しても、有利なはずだ。
運用会社は独自のインデックスを開発・公表してもいいが、実は「インデックス」にこだわる必要がない。アクティブETFには、現在の公募投信のアクティブファンド群のような「ガラクタ箱の再現」ではなく、真に長期投資に適したポートフォリオの実現を期待したい。これこそが「王道の進化」だろう。
もちろん、こうした王道の運用とは別に、市場参加者の盲点を突くようなチャンスを拾う、気の利いたアクティブファンドがあっていいが、それも適切なコストがあってこそ歓迎できる試みだ。
「ETF」は、「いい(E)、手数料の(T)、ファンド(F)」と読んでほしい。決して、「イージーに(E)、トレードする(T)、ファンド(F)」ではない。
(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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