株価指数先物やオプションを機敏に売買するような運動神経を持たない投資家がレバレッジ型ETFの売買に群がったように、個別銘柄について深く考えられない投資家がコンセプトの言葉と値動きの派手さだけにひかれて漠然とアクティブETFを売り買いするということなら、日本の株式市場の価格発見機能は少しも磨かれることがないだろう。
そして、短期売買にはトレーディングコストが伴うので、「投資」としてはうまく行きにくいはずで、資産形成の手段としても冴えない。
インデックス運用の改善ができるか?
さて今後、アクティブETFに何を期待するか。1つには、これまであまりに高い値付けだったアクティブ運用の信託報酬を、ETFに衣替えすることを機に、上品だといえる水準(?)まで引き下げる運用会社が現れるなら、これは投資家から見て正常な進化なので、歓迎したい。
一般論としてアクティブ運用が「有利でない」事実は覆しがたいが、手数料が低廉になれば、「お金を入れて、楽しんでみてもいいのではないか」と思える程度のアクティブ運用商品や投資家が現れてもおかしくはない。
もう1つ期待したいのは、インデックス運用の改善だ。例えば、インデックスベンダー(供給者)に支払っている無駄に高いインデックス使用料を省略できる商品を考えることができるはずだ。
インデックスファンドに使われているインデックスを運用会社が使用するためには、資産残高に応じて信託報酬の中から使用料を支払わねばならない(0.005%〜0.03%くらいと言われ、個別に契約)。これはインデックスファンドの手数料引き下げ競争が進んできた現在、この使用料が運用会社にとって負担になっているし、信託報酬をもう一段引き下げるうえでの障害にもなっている。
例えば、「S&P500種指数」のインデックスファンドとうたう投信商品は、S&Pグローバル社に同指数の使用料を支払わなければならない。指数の計算と公表にはコストがかかるし、「S&P500」という名前で商売をしているのだからパテント料を払えというインデックスベンダー側(この場合S&Pグローバル社)の言い分自体は理屈が通っている。
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