韓国大統領の「レームダック化」が止まらない 就任3年目の正念場だが、醜聞まで浮上

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一方で韓国の経済・金融関係者が期待しているものがある。過去に実施した基準金利の引き下げがもたらす景気改善効果だ。4月下旬に中央銀行・韓国銀行の李柱烈(イジュヨル)総裁は「韓国経済に、まだ弱いが肯定的なシグナルが出始めた」と述べた。また崔ギョン煥(チェギョンファン)・副首相兼企画財政相も同時期、「今年第2四半期(4~6月)の経済成長率が前期比1%を超えるものと期待している」と発言。第1四半期は同0.8%成長だった(年率でない)。

韓国銀行は14年8月に2.5%の基準金利を2.25%に、さらに2カ月後の同年10月には2.0%に引き下げた。これが第2四半期によい効果をもたらすと期待しているのだ。財政面でも年内に10兆ウォン(約1.1兆円)の景気浮揚策を決定し、回復傾向を強めようとしている。

それでも、韓国内の専門家からは、金利引き下げと財政出動を行っても、それが消費と実物投資に結び付かず、株式投資が増えるだけとの分析が支配的である。

外交政策が威力を失い、肝心要の経済も低迷したまま──。今の朴大統領には乾坤一擲(けんこんいってき)もなく、起死回生の策を持っているようにも見えない。歴代大統領の中で、史上最速の「レームダック化」が進みそうだ。

「週刊東洋経済」2015年5月23日号<18日発売>「核心リポート05」を転載)

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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