モトローラ、日本勢を横目にスマホ注力の背景 中国のレノボ傘下で「日本を強化地域」に設定

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モトローラは日本でのスマホ販売台数を公表していないが、「2020年当時はびっくりするくらい小さな数字だった」(松原社長)。それが毎年約3割のペースで伸びているという。

とはいえ、市場シェアはまだまだ小さい。実際、日本市場ではiPhoneを出すアップルが圧倒的な強さを誇る。IDC Japanの調べによると2022年の出荷台数で約半分のシェアをアップルが握っていた。

「AQUOS」のシャープ、「arrows」「らくらくスマートフォン」のFCNT(旧富士通の携帯事業)、「Xperia」のソニーという日本の3ブランド、さらに「Galaxy」の韓国サムスン電子を合わせた上位5社でみると、シェアの9割を占める。2023年はここにグーグルが食い込んでくる。

日本市場のスマホメーカー市場シェア

だが海外市場になると、モトローラの立ち位置は違ってくる。ラテンアメリカではサムスン電子に次いでシェア2位、北米ではサムスン電子、アップルに次いで3位と高いシェアを誇る。

一時期はスマホ事業に苦戦していたモトローラ。だが、2014年にレノボがグーグルから同社を買収し経営陣が変わると、米州での存在感を高めてきた。そして2020年に「次なる重点地域」と定めたのがアジア太平洋地域、中でも日本、オーストラリア、インドの国々だった。

世界市場に向けたショーケース

インドのように量を確保できる巨大市場ではないにもかかわらず、日本に注力すると決めたのはなぜか。

「品質やサービスへの期待度が高い日本で成功すれば、どこの国でも成功できる」(松原社長)。つまり日本には、世界市場に向けたショーケースとしての役割が与えられたわけだ。

また、日本には一度好きになったブランドへの忠誠心が高い人も多いという。インドでは、機種の仕様を細かく比較されて、似た製品なら少しでも安いブランドが選ばれがちだと、松原社長は話す。

重点国として定められる2020年以前の日本市場は、モトローラから重視されていなかった。SIMフリー端末を中心に、2万〜4万円の低価格品をボリュームゾーンとして、年3〜4機種程度を細々と出していたにすぎなかった。

だが日本市場への注力を決めた後は、発売機種の数を増やしている。2020年7機種、2021年9機種、2022年5機種、そして2023年は現時点で5機種を出している。

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