東大生が「成績が伸びない子」を一瞬で見抜く視点 「解けない問題」への態度がこんなに重要なわけ

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でも、「じゃあ、xにとりあえず1を入れるとどうなるだろう?」「zにはどんな数が入るんだろう? 0は入るかな?」と、いろいろな数字を使って、与えられた情報をいじっているうちに、答えが出るという問題なのです。

そうやって計算していくと、いろんな気づきがあります。「zは二乗なので、zが3のときは9になるから、答えにはならないだろうな」「ってことは、zには3以上の数は入らないな」とか、そういうことがわかっていくのです。

そうすると、「じゃあzは0か1か2以外ないわけだから、順番にz=0、z=1、z=2、と場合分けしていくほうがいいな」とわかります。実際に場合分けすると、z=0のときは9通り、z=1のときは8通り、z=2のときは5通りです。これらを足すと、「22通り」が答えになります。

この問題は、最初から「zには3種類の数しか入らないな」ということがわかるわけではありません。でも、手を動かしている中で、「この解き方も使えるんじゃないか」ということが見えるようになるわけです。

逆にこれらの問題で、まったく手を動かさずにただ「どうやって解くのかな」と考えていても、うまくはいきません。どんな答えが出るのか、解き方はどうなのかなどがわからない状態でも、とりあえず数字を入れたり書いてみたりすることで、問題が解けるわけです。

どんなに勉強しても成績が上がりにくい生徒は、「わからない問題を見たときに硬直してしまう生徒」です。わからなくても、「わかる範囲」のことを懸命に書いている生徒は、その時の成績が悪かったとしても、そのあとで必ず成績が上がっていきます。

「手を動かす」はあらゆる科目に共通するコツ

今は数学の問題で説明をしましたが、それ以外の勉強全般に言えることだと思います。手を動かすことは、この数学の問題以外でも大きく活用できるものです。

文章を読んでいるときでも、人の話を聞いてちょっと整理したいときでも、メモを取って何かを書きながら聞いているのとそうでないのとでは、頭への入り方が全然違うのです。

ただ、「どういうことだろう?」と考え込んでしまうと、頭がごちゃごちゃしたり、身体的に動きがなくて身体全体が強張ってしまい、頭の中が凝り固まってしまうことがあります。

逆に手を動かすと、自分がそれまで何を考えていたのかという思考過程を視覚的に見ることができるようになって、「あれ? 何を考えていたんだっけ?」とならず、思考が整理されるようになります。また「手を動かす」という身体的な行為をすることで、身体の強張りを解きほぐすことができるようになります。

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