「スタートアップ」は熱狂と暗影混在の新時代に 政府政策が追い風も資金調達額の拡大傾向に陰り

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業界全体の熱量を高めた要因の1つは、政府がぶち上げた「スタートアップ育成5カ年計画」だろう。2022年初の会見で岸田文雄首相は「スタートアップ創出元年」を宣言。同年11月に具体的な計画を策定した。

2022年度第2次補正予算では、関連の施策について過去最大の1兆円規模の予算を計上。今年に入って閣議決定された税制改正大綱にも、スタートアップエコシステムの強化に向けた優遇策が盛り込まれた。

資金調達額の拡大傾向に陰り

支援策のスコープは創業期からIPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)といったイグジット(出口)戦略を考える成熟期まで幅広い。政府はこれらを通じ、スタートアップへの投資額を2027年度には、従来比で10倍を超える年10兆円規模にすることを掲げる。

自由民主党の「新しい資本主義実行本部スタートアップ政策に関する小委員会」で事務局長を務める小林史明衆議院議員は、6月の東洋経済のインタビューで「国の予算に頼るのではなく、民間資金がスタートアップ投資に回り、成長から得られた資金が再投資され、循環していく仕組みをつくりたい」と意気込みを語った。

ただ、肝心の“お金の流れ”に目を向けると、足元は政府の思惑と裏腹に雲行きが怪しい。

スタートアップ情報プラットフォーム・INITIAL(イニシャル)の調査によれば、国内スタートアップの資金調達総額は2022年上半期まで続いていた拡大傾向にストップがかかっている。

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