ベンチャーの要諦、「CFO」たちの知られざる素顔 「外銀エリート」がこぞって参戦する背景事情
独自の技術や切り口を武器に、消費者や企業が抱える課題へアプローチするベンチャー企業。創業者の能力や熱意が成長のドライバーであることは間違いないが、扱う技術やサービスが高度化・複雑化する、さらにコロナ禍でビジネス環境が激変する今、ベンチャーにおいても“組織力”が問われるようになってきた。
『週刊東洋経済』8月17日発売号は「すごいベンチャー100 2020年最新版」を特集。ウィズコロナ時代に飛躍するベンチャーを100社厳選した。『週刊東洋経済プラス』でもそのリストを掲載している。
リストを見れば明らかなように、昨今は企業の業務をデジタル化するSaaS(Software as a Service)ベンチャーが活況だ。また、小売りや飲食、物流、医療、金融など各業界特有のニッチな課題を解決しようとするベンチャーも増えた。かつてはゲームや情報系アプリ、EC(電子商取引)といった消費者向けサービスを展開するベンチャーが目立ったが、それに比べると「裏方」色が強くなっている。
勝敗を左右するベンチャー経営の要
こうしたベンチャーの成長に欠かせないのが、資金調達力だ。消費者向けサービス以上に複雑で膨大な機能開発が必要になるうえ、安定性やセキュリティーへの要求も高く、創業初期から大規模な投資を必要とする場合が多い。一方で、一般にはわかりにくいサービスについて、独自性や必要性、成長可能性などを投資家に理解してもらうのは骨の折れる仕事だ。
現状のベンチャー投資環境に目を向けると、「優勝劣敗」の色合いが濃くなっている。日本ベンチャーキャピタル(VC)協会の赤浦徹会長は「成長性のある、目立つベンチャーに、こぞって投資しようという動きが活発だ」と分析。実際に昨年、国内ベンチャーの調達総額は拡大した一方、調達社数は減少した。今年もこの流れが続いているとみられ、特定のベンチャーに資金が集中する傾向が強まり、1社当たりの調達額が大型化している。
勝つか負けるかを左右するファイナンス戦略。その要となっているのがCFO(財務責任者)だ。役職名や管掌範囲は会社によって異なるが、ベンチャーキャピタルからの資金調達、予算配分、株式上場準備、M&Aなどの業務から、人事労務、法務など管理系業務を広く見る場合もある。社長やCEOの“右腕”としての技量が問われるポジションだ。
こうした中、ベンチャー業界にはファイナンスに強い人材の採用・育成に力を入れる動きも出始めている。
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