また企業統治の面でいえば、損保ジャパンの親会社であるSOMPOホールディングスのグループCEOであり、損保ジャパンの取締役も務めている櫻田謙悟氏の動向も検査の大きな焦点だ。
櫻田謙悟氏は注意義務をどこまで果たしたか
2022年8月末、櫻田氏は損保ジャパンの役員から不正請求や入庫再開に至るまでの経緯について説明を受けている。その際、櫻田氏は「入庫再開の判断は本当に正しかったのか」「組織的な不正の指示がないと言い切れるのか」と疑問を呈したとされているものの、証言内容が自社の出向者が関与するかたちで改ざんされた経緯については説明を受けていないという。
しかしながら、櫻田氏への経緯説明の場には、2022年7月の関係役員による非公式会議に出席した役員も同席している。その状況で、改ざんの経緯について本当に説明がなかったのかどうか。もし説明がなかったとすれば、「バッドニュース」が正しく報告されない歪んだ統治体制になっていたことになる。
加えて、櫻田氏が組織的な不正の指示があったのではと本気で考えたのであれば、損保ジャパンの出向者をすぐに本社に引き揚げるといった措置を取締役として促すべきだっただろう。しかし、当時の出向者は2023年1月に本社に戻るまで、ビッグモーター側の追加調査に一部携わり、ほかの大手損保幹部から「隠し事がバレないようにするためなのか、調査の進行を妨げているように見える」と強い不満が出るありさまだった。
櫻田氏がいつ不正請求を認識し、取締役としてのあるべき注意義務をどこまで果たすべきだったのか。金融庁はその点についても、立ち入り検査を通じて重点的に調べる方針だ。
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