米共和党の星「トランプ2.0」は38歳インド系富豪 米大統領選で大躍進したダークホースの正体は

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保守派の一部がラマスワミ氏支持に傾く理由は、彼の選挙公約だけでなく、彼の経済・外交戦略にある。同氏は、第1回討論会でヘイリー氏と火花を散らしたように、アメリカのウクライナへの関与に否定的だ。

「モンロー主義の復活」を唱える

同氏が保守系雑誌『ザ・アメリカン・コンサバティブ』に寄稿した外交戦略を紐解くと、ウクライナだけでなく対外関与自体に消極的で、米欧大陸間の相互不干渉・孤立主義とされる“モンロー主義の復活”を唱える。

これは、CNNが8月4日に発表した調査結果で、アメリカ人の55%、共和党支持者の71%がウクライナへの追加支援にノーをつきつけたような、世論の流れを意識しているのだろう。

筆者の友人でジョージア州在住のリベラル寄りのアメリカ人女性(38歳)も「ハワイ史上で最悪の山火事があったというのに、ウクライナに巨額援助している場合ではない」と息巻いていた。

ラマスワミ氏は、自身が大統領に就任すれば、2025年にもモスクワを訪問し、ロシアとウクライナの戦争を終結させるための条件を交渉する方針と述べる。また、ロシア軍が奪った領土の支配を「受け入れ」、ロシアが中国との軍事同盟を解消する代わりに、ウクライナがNATOに加盟するのを阻止すると約束すると明言した。ロシアへの経済制裁も解除するという。

日本人にしてみれば、モンロー主義が台湾海峡問題に及ぶか否かが注目されよう。ラマスワミ氏は、台湾について「戦略的透明性」を主張。台湾におけるアメリカの利益を守るよう明確化するとしバイデン政権の「戦略的あいまい性」から転換する方針だ。

ただし、“一つの中国”の政策を撤回するのか、言及していない。また、台湾がアメリカと防衛提携を望むなら、防衛費などを「許容できるレベル」まで引き上げる必要があると発言するにとどめる。

ラマスワミ氏は、インドに対しアメリカとより緊密な関係を持つよう圧力を掛けるとし、原子力潜水艦の技術を米印で共有すべきとも訴える。また、中国が台湾を侵略した場合、中国が石油を輸入するために使用する航路を海上封鎖するうえで、アメリカがインドを支援する可能性に言及した。

その他、日本やオーストラリア、フィリピンなど同盟国にも、防衛費の引き上げを要請すると明言。太平洋島しょ国など海外領土を持つフランスやコモンウェルス加盟国を抱えるイギリスなど欧州各国は、中国の経済的脅威に対抗すべく同地域への投資を活発化すべきとも説く。

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