米共和党の星「トランプ2.0」は38歳インド系富豪 米大統領選で大躍進したダークホースの正体は

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経済政策では、①気候変動対策の撤廃、石油や石炭と原子力を重視、②規制緩和”レーガン2.0”の実現、③アメリカ連邦規制当局の人員を75%以上削減――を通じ、最大5%成長を目指すという。

中国との経済関係は抜本見直し

また、中国依存の脱却を図り、①コロナの説明責任の追及、②半導体関連での独立性確保、③中国共産党によるアメリカの土地買い取りを阻止、④中国共産党の不正行為停止までアメリカ企業の中国進出を禁止――などを徹底する構えだ。

ラマスワミ氏の注目度が上がるにつれ、粗探しが増えてくるものだ。例えば、同氏は第1回の討論会「変な名前のやせた男(Skinny guy with a funny name)」と自己紹介したが、これはオバマ元大統領が2004年にイリノイ州上院議員に出馬した際に使った表現で、二番煎じだと非難を浴びた。

また、2011年に慈善団体のポール&デイジー・ソロス・フェローシップ・フォー・ニュー・アメリカンズから大学院への奨学金を得た経歴を蒸し返され、著名投資家ジョージ・ソロス氏の関係が疑われた。

さらに、世界経済フォーラム(WEF)が2021年に同氏を“ヤング・グローバル・リーダー”の一人に選出したため、選挙公約に反しグローバリストだと批判の矛先を向けられた。ラマスワミ氏は、これらの疑惑に対し「奨学金はジョージ・ソロス氏の兄の財団からで、自分は選ばれた数百人の一人に過ぎない」と説明する。

2021年時点でラマスワミ氏の収入は200万ドルを超えていた。自身が立ち上げた会社の株価上昇で巨万の富を築いたこと、ESG推進で知られる運用会社ブラックロックが大株主であることなどとあわせ、今後メディアに掘り起こされうるテーマだ。

WEFに関してラマスワミ氏は「プログレッシブで過激」な団体が自身の承諾を得ずにリストに追加したとして、2023年4月にオハイオ州で訴訟を起こしたが、同8月に和解に至った。

かつてのオバマ氏を彷彿とさせる共和党の新人に、一部の保守派はこれまでにない期待を込めて熱い視線を向ける。同時に、支持率が上昇すればするほど、共和党主流派や民主党がラマスワミ氏を脅威とみなし、攻撃を仕掛けてくること必至だ。

ラマスワミ氏の選挙戦での運命は、トランプ氏に掛かるだろう。トランプ氏は第1回の討論会を欠席したが、事前に「討論させれば、誰を副大統領候補として検討すべきかわかるだろう」と語っていた。仮にラマスワミ氏が選挙戦を優位に戦い続け一定の支持を獲得できるならば、トランプ氏からの副大統領候補指名を勝ち取る劇的な展開も否定できない。

安田佐和子 経済アナリスト

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やすだ・さわこ / Yasuda Sawako

世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て株式会社ストリート・インサイツを設立し、代表取締役に。

 

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