ローソンで爆売れ「Kコスメ」支える黒子の正体 Z世代中心に「ロムアンド」のコラボ商品に殺到

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世界で820人の研究員を持つコスマックスは、処方(製造のレシピ)の独自性を強みとする。蓄積してきたノウハウを生かし、受託から納品までの期間を他社の半分以下まで短縮することも可能。通常、化粧品製造のリードタイムは半年程度とされるが、コスマックスは冒頭のロムアンドの新ブランドを3カ月程度で納入した。これは業界内では異例の早さだ。

魚社長は「韓国コスメが海外で売れた理由は、革新的な商品を世の中に素早く広めたから。信頼感に優れたメイドインジャパンの品質に、こうした武器が加われば、国内外問わず強い波及力がある」とみる。K(韓国)コスメは日本や中国でブームを起こしているが、日本メーカーと取引を増やすことで「J(日本)ブーム」を世界で起こしたいと力を込める。

背景には、海外取引先からの「メイドインジャパン」への根強い需要がある。中国企業の中には「メイドインジャパン」を、ローカルブランドとの差別化要素に掲げるブランドがある。今後、日系メーカーが海外展開する際は、こうした会社もライバルになるかもしれない。

EC支援まで踏み込む

コスマックスは製造受託にとどまらず、取引先の販路開拓からマーケティング支援まで一貫してサポートする方針も打ち出している。ECサイトの開発企業やマーケティング会社との連携を想定し、化粧品メーカーのEC展開を後押しする準備を進めている。

EC販売が軌道化すれば、小売店にも展開しやすくなる。高価格帯シャンプー「ボタニスト」のI-neや、クレンジングバーム「デュオ」のプレミアアンチエイジングは、ECの実績が評価されたことで小売店での取り扱いが広がった。

海外企業からも日本市場での流通支援のニーズは強い。特に中国では日本の小売店で流通していることが実績として評価される傾向にあり、それが中国人の購買動向にも影響を与える。訪日中国人客が増加することを見据え、日本の小売店で配荷を進めたいと考える中国企業は数多い。

2025年の新工場稼働に向けて、積極的に商談を増やしているコスマックス。&nd by rom&ndに続く、スマッシュヒットが出てくるのか。日本の化粧品メーカーにとってチャンスにも脅威にもなる巨大な“黒子”の上陸が、大きな刺激になることは間違いない。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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