背水の陣プロントが始めた「昭和なネオ酒場」 30年カフェ&バーのスタイルを守ってきたが…
ネオ酒場を主体とするコンセプト立案にあたって重視したのは、若者の取り込みだ。
スタッフのユニフォームも従来のバーテンダースタイルから、Tシャツとカジュアルなものにチェンジ。かけ声も「いらっしゃいませ」から「こんばんは」に切り換えた。
これまでの主要利用層は50代を中心とするミドル世代。昔から喫煙OKだったことが理由として大きい。2020年4月の改正健康増進法、東京都受動喫煙防止条例施行に合わせ、喫煙専用室などを設置、分煙を徹底している。
「昼間は20〜30代のビジネスパーソンがターゲット、夜は若者も含めて、幅広い層をターゲットとしている。みんなでワイワイ楽しめるような、活気ある飲み会の雰囲気を重視している」(藤原氏)
SNSを積極的に活用
あわせて、従来ほとんど運用していなかったSNSを積極的に活用。ツイッター(X)のフォロワーは6000から11万に、新たに始めたインスタグラムのフォロワーは1万5000にまで増えてきたという。
SNSと言えば、ユニークなメニューが「タコさんウインナー(500匹)」(2万4200円)。ユーチューバーのジャンルとして、食品を大量に食べてみせるものがある。そうしたユーチューバーによる拡散を目論んでメニューに入れたが、狙いはちょっと外れた。
「実際に来てくれたのは1人。しかし、常連を中心にタコさんウインナーオフ会を開いてくれたことがあり、それが話題になって認知度が上がっている」(藤原氏)
オフ会では抽選で選ばれた100人以上が集い、結局1600匹になったタコさんウインナーがおけに入れられて提供されたという。
こうした話題づくりも奏功してか、通常の10匹盛りのタコさんウインナーは人気メニューとなっているが、500匹盛りも月10件前後は宴会需要として予約注文が入るようになった。500匹となればそれなりの団体客でなければ食べきれない。売り上げへの貢献度も大きいだろう。
同社ではキッサカバのキーとなるメニューとして、真っ先に決めたのがタコさんウインナーだったという。厳密に言えばタコさんウインナーは昭和の喫茶店というより、子どものお弁当に入れるおかずだ。
ネットで検索した情報によると、タコさんウインナーの考案者は料理研究家の尚道子氏。1950年代、食の細い息子のために箸でつかみやすいよう切れ目を入れたのが始まりだという。
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