背水の陣プロントが始めた「昭和なネオ酒場」 30年カフェ&バーのスタイルを守ってきたが…
プロントはもともと、サントリーとUCCの共同出資により1988年にスタートしたブランドだ。ファストフードチェーンや1980年に1号店を開店したドトールなど、セルフオーダー式の飲食店が台頭する中、プロントは夜の時間帯を「バータイム」とし、差別化・高収益化を狙った業態として誕生した。普通のカフェであればランチをピークとした昼間の時間帯に売り上げが集中するが、プロントコーポレーションで「二毛作」と表現するこのスタイルであれば、夜の集客も見込めるわけだ。
現在、全国に約200店舗を展開。他のカフェチェーンについて、出店時期と店舗数をまとめると、ドトール(1980年、1070店舗)、スターバックス(1996年、1846店舗)、タリーズコーヒー(1997年、約700店舗)だ。
なお、カフェながらアルコールを提供しているチェーンとしては、カフェ・ベローチェ(店舗限定)、ドトールの展開するエクセルシオールカフェがあるようだ。
2021年4月にイメージチェンジ
しかしプロントのバータイムは、本格的という点では追随を許さないものだった。バーテン姿のスタッフが迎えるほか、グラスの洗い方や品質管理、注ぎ方などの基準をクリアした「樽生達人」が注ぐ生ビールや、手割のロックアイスを使ったハイボールなど、数百円で本格ショットバーのサービス・味が楽しめるということで支持を得た。
このように30余年、カフェ&バーのスタイルを守り続けてきたプロントが、この2021年4月にイメージチェンジ。夜の時間帯の営業で、前述のようなネオ酒場の雰囲気を全面に押し出した。いわば、業態変換である。
直接のきっかけになったのは、コロナ禍による売り上げの落ち込みだ。2019年のチェーン売上高は約281億円。しかし2020年度は約157億円に、2021年度は約125億円に激減した。2022年は上向きに転じたものの、依然厳しい状況が続く。
「昼間の時間帯の売り上げは2019年に近いぐらいに戻ってきたが、お客様の絶対数は減っている。売上高が増えている理由も、商品売価を変更し、客単価が上がったことが大きい」(プロントカンパニー・ブランド戦略部マネージャーの藤原学氏)
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