海水浴を知らずに育つ子も「体験格差」悲痛な実態 「学校外の体験=遊び」と思われ、支援進まず

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「習い事をしていると余裕があるように映るかもしれませんが、水の事故から身を守るためと体力をつけるため、水泳だけはなんとか工面してでも習わせたかった。その代わり、家族旅行なんてできていないし、長女は電車に一度も乗ったことがない。私は寝るところと白米さえあれば生きていける」と、どうにか月謝を捻出していると教えてくれた。

習い事は2つあわせて約1万3000円。水泳は安いところを探して通わせていたが、最近月謝が1000円近く値上がりしてしまった。数百円を削る生活の中で1000円の値上げはかなりの痛手だ。さらに昨今の光熱費の上昇も家計に重くのしかかる。

ユニフォームを「いらない」と申し込まなかった長男

田代さんの家では子どもにお金のことはあまり話さないそうだが、「子どもなりにいろいろわかっていて、無意識に節約させてしまっている」と感じた出来事があった。

長男は高校のクラブ活動で、皆が当たり前に買うユニフォームなどを「いらない」と申し込まなかった。友人らと遊園地に出かけたときも「1回行けば十分」と言っていたが、家計の状況を気にしているようにも映った。

写真はイメージです(写真:m.Taira/PIXTA)

コロナ禍で外出自粛が続き「出かけられないのはどこの家庭も同じ」だったが、今年から日常が徐々に戻りつつある。沖縄やディズニーランドなどに行ったという話を周りから聞くと、長女は「皆はいいな」と漏らした。田代さん自身も「子どもたちと出かけたい」と思ってはいるものの、これ以上の費用捻出は厳しい。

一人親家庭の場合、子どもの休みの日に一緒に出かけたいと思っても、金銭面のハードルだけでなく、平日にたまった家事を休日にあてたり、土日も仕事したりということもある。そのため、子どもと過ごす時間の捻出に苦労している家庭も多いという問題もあるようだ。

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