若年女性客が多い繁華街の需要活性化に期待したい--きちり・平川昌紀社長

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若年女性客が多い繁華街の需要活性化に期待したい--きちり・平川昌紀社長

関西圏を地盤に、若年女性客をターゲットにした居酒屋「KICHIRI(きちり)」など、66店舗の飲食店を手掛けるきちり。今年2月にはグローバル旗艦店と称した「KICHIRI新宿」をオープンさせ、首都圏や海外への進出にも意欲を見せる新興の外食チェーンだ。事業拡大を狙っていた矢先に、今回の東日本大震災がおそった。震災は同社の戦略にどのような影響を与えたのか。平川昌紀社長に聞いた。

--2011年1~3月期(第3四半期)業績には震災の影響が出たようです。

本来、第3四半期は新年会や歓送迎会が含まれるため、平均月より1.2倍の売り上げが見込める書き入れ時のシーズンだ。だが、震災により客足がパタッと止まったことから、この3カ月の営業損益は赤字に転じ、急ブレーキをかけられてしまった。

震災当日は什器や皿、店舗の造作が破損したため、関東圏12店舗のうち7店舗が営業停止となった。休業店舗がゼロになるまで6日を要し、多大な機会損失が生まれた。営業中の店舗も、震災当日のような帰宅難民になることをおそれた人が増えたことから、売り上げは急減した。震災後1週間の売り上げは、前年同期比8割減と深刻な状況だった。

2週目以降から打撃となったのが自粛ムードだ。震災直後もわれわれの主要商圏である関西は売り上げに影響はなかったが、関東、関西ともに歓送迎会がすべてキャンセルとなり、3月下旬だけを見れば、関西の売り上げも前年同期比2割減と苦しかった。震災前まで、既存店売上高は関東が同10%弱の増加 関西ほぼ前期並みと健闘していたのだが。

--4月以降の売り上げ状況は。

足元の既存店売上高は、関東で1割減、関西は横ばいまで回復した。ただ、同じ関東の中でも、立地によって濃淡が大きい。

たとえばビジネス街立地の銀座、赤坂の売り上げは弱いが、繁華街立地の渋谷、恵比寿は堅調というように二極化が進んでいる。ビジネス街は大手メーカーの工場が震災で被災するなど、サラリーマン層の消費マインドが弱いためだろう。特に東京電力のおひざ元でもある銀座は壊滅的だ。

一方、繁華街は若者が多い上、客層の流動性が高い。主力の「KICHIRI」業態は従来の居酒屋チェーンとは一線を画した若年女性層に訴求する業態を志向しており、
こうした立地にある店舗の売り上げ減少は、最小限に食い止められている。震災前からの傾向だが、繁華街立地の店舗は、女性客が過半を占めることがめずらしくない。

自粛ムードの解消は容易ではないが、従来の”居酒屋=サラリーマン”という枠組みにとどまらない、新しい客層による需要の活性化には期待ができる、と見ている。

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