中国新興EV「技術開発キーパーソン」が退社の深層 小鵬汽車の呉氏、「米中対立」が影響との見方も

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現時点では、呉氏自身は退社の理由を明らかにしていない。そんななか業界内では、呉氏がアメリカの半導体設計大手のエヌビディアに移籍するという噂が流れている。

呉氏を知るある人物は、退社の裏側には「アメリカと中国の対立の影響があるのかもしれない」との見方を示した。呉氏はアメリカ国籍を取得しており、アメリカと中国の間を日常的に往復しながら、中国企業(の小鵬汽車)で最先端技術の開発を主導した。そのため、アメリカ政府の規制当局に目をつけられた可能性があるという。

呉氏の主導の下、小鵬汽車のテクノロジーは加速度的な進歩を遂げた(写真は同社ウェブサイトより)

ここ数年、アメリカ政府は中国が最先端技術を獲得するのを阻止しようと、新たな規制を次々に打ち出している。2022年10月には、アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)が、先端半導体技術の対中輸出に関する過去になく厳しい新規制を発表。それにより、アメリカ人が中国で半導体の開発・製造に従事することが厳しく制限された。

クアルコムから小鵬汽車に移籍

呉氏は中国の理工系の最高学府である清華大学を1998年に卒業し、アメリカに留学。2004年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で電気工学の博士号を取得した。

本記事は「財新」の提供記事です

その後、呉氏はアメリカの半導体設計大手のクアルコムに入社し、自動運転技術の研究開発に携わった。そして2019年3月、呉氏は小鵬汽車に副総裁として移籍。自動運転技術の開発責任者を務め、同社のテクノロジーの加速度的な進歩を主導した。

(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は8月2日

財新 Biz&Tech

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