「恒大ショック」再び、中国不動産大手の経営危機 約1兆円の赤字、迫る「碧桂園」の流動性リスク

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不動産業界に財務問題とは別の懸念もある。8月には商業用不動産開発大手・大連万達集団の高級副総裁、劉海波氏がほかの2部門の幹部とともに上海浦東の公安当局に連行された。万達に近い関係者は財新記者に対し、この3人が関与した事件はパートナー側が通報したもので、「他人の利益を奪った」「巨大な案件だ」と述べている。

債券市場の観点から現在、災難に見舞われているのはやはり碧桂園だ。

8月12日夜、碧桂園および子会社2社(碧桂園地産と騰越建築)はいずれも、社債償還取り決めに関する社債権者会議を開き、11本の社債が8月14日の取引開始日から取引停止されると発表した。

財新の統計データによると、取引停止前の碧桂園、碧桂園地産、騰越建築の内外債券は946億元(約1兆8900億円)近くに達し、このうちオフショア債券は約721億元(約1兆4400億円)、オンショア債券(資産担保証券を含む)は約225億元(約4500億円)であった。今回取引停止となった11本の債券の残り総額は157.02億元(約3100億円)で、いずれも2024年6月末に満期を迎えるか、プットオプションが実施される予定だ。

流動性危機は半月で急激に表面化

碧桂園の流動性危機はここ半月で急激に表面化し、投資と融資の双方が同時に財政難に直面し、資本市場では株式と債券の両方が下落した。

8月7日、内部の問題が明るみに出て、碧桂園は仏山市による土地譲渡料の支払いを迫られた。同日、碧桂園は、期間内にオフショアドル債2本の金利を支払うことができなかった。

8月10日、碧桂園に近い関係者によると、碧桂園のオンショア債は9月に集中的に支払われ、同社の手元資金では対応できないため、まずは延長を行い、その後オフショア債について考える可能性もあるという。

(財新記者:楊律、王娟娟)
※原文の配信は8月11日、14日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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