「恒大ショック」再び、中国不動産大手の経営危機 約1兆円の赤字、迫る「碧桂園」の流動性リスク

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財新の取材に対し、仏山市当局は「文書の信頼性を繰り返し検証している」と答えるにとどまり、碧桂園は一切コメントしなかった。しかし公開情報によると、この「督促状」に記載されている土地取得時期、契約締結時期、関連する土地譲渡料と支払い時期などの情報はすべて公式資料と一致している。

この問題にはもう1つ特殊な点がある。仏山市順徳区は碧桂園の本社所在地でもあるのに、なぜこの時期に内部の問題が明るみに出たのか、だ。二者の間に亀裂が生じたのでは、と思わずにはいられない。

そして同日、碧桂園は自社で発行したオフショアドル建て債券2本の利子を期日までに支払えなかった。この2本の債券の規模は5億ドル(約720億円)で、利子は半年ごとに支払われるが、今回の未払い利子は2250万ドル(約32億円)に上る。さらに30日間の猶予期間があるが、その期限までに利子を支払うことができなかった場合は実質的な契約違反となる。

この2本の利子の額はそれほど大きくないため、市場では「碧桂園が利子を期日までに支払わないことは、同社が率先して債務再編に着手する可能性を示している」との見方も出てきている。

しかし、碧桂園にとって、さらに困難な日々はこれからやってくる。9月には39億元(約780億円)の私募債1本と34億元(約680億円)の公募債2本が支払期日を迎える。さらに2023年中に、碧桂園とその子会社である碧桂園地産と騰越建築は、合計185億元(約3700億円)の債券を支払う必要もある。

強制上場廃止になった、不動産会社も

危機に陥っているのは、碧桂園だけではない。

8月7日、かつて不動産売上高トップ20にランクインしたこともある陽光城集団(ヤンゴー・グループ)が正式に強制上場廃止になることが発表された。中国では、6~7月にかけて不動産会社6社が取引関連の違反により強制上場廃止となった。

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