勉強に戦略が必要なのは「努力をしない」ため 目標までの近道を知るにはまず「地図」が必要

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たとえば「資格を取りたい」という目標があるとします。その上位には「資格を活かして、収入を増やしたい」のような目標があります。そして、さらにその上位には「お金に不自由せず、ハッピーに暮らしたい」といった、ふわりとした状態の最終目標があるはずです。

下位の目標は、あくまでも上位の目標を達成するための「手段」です。

先ほどの例なら「お金に不自由せず暮らしたい」という上位の目標を達成するために、その手段となる下位の目標をおくだけ。

下位の目標しか見えなくなって、「資格を取ること」そのものが目標になってしまうことは場合によっては回り道になってしまいます。

「ゆるくて大きな目標」と「細かい目標」を決める

「なんのために勉強するのか?」「最終的にどうなりたいのか?」というゴールを見失ってはいけません。

そもそも目標がないと、戦略は立てられません。

戦略を立てるには、目標を決めて、それに対する課題を「精緻化」して、出てきた課題に一つひとつ取り組んでいくことが必要です。

ただ、あまりにも「目標そのもの」に縛られるのはまさに本末転倒。

最初に立てた目標は、未来永劫続く「絶対的なもの」ではなく、その時点で考えていた仮の状態の理想だと考えておきましょう。

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途中で目標が変わることは普通のことですし、課題に取り組んでいるうちに「なんか違うな」と感じるのも当たり前です。

設定した目標を達成するために、戦略を立てることは大切です。

その一方で、最初に立てた目標だけに固執して、撤退できない状態になるのは好ましくありません。目標にこだわりすぎて「自分にはこれしかないんだ」と考えてしまうと、かえって遠回りになってしまいます。

勉強の戦略は、あくまで「最短距離」を見つけ出して、なるべくラクをすることにあります。戦略に固執して、ムダな苦労をするのでは意味がありません。

こうした事態を防ぐためにも、目標は「ゆるくて大きな目標」と「今日・明日レベルの細かい目標」の2つをしっかり決めておくといいでしょう。

その中間点となる目標は、自分の現在地を把握しながら、その都度調整するようにします。状況や環境の変化に柔軟に対応できますし、不必要に固執することなんてなくなるはずです。

岡 健作 スタディーハッカー代表取締役社長

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おか けんさく / Kensaku Oka

1977年生まれ、福岡出身。スタディーハッカー代表取締役社長。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。

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