需要減が止まらないコメ、価格上昇へ奇策

最安値を更新したコメ価格、TPPの影響は?

ただし、牛丼チェーン、すき家本部の興津龍太郎社長は「コメ価格の下落の代わりに牛肉価格、人件費、電力代の高騰がのしかかっている」と言う。実際、すき家は4月15日から牛丼並盛を、税込み291円から同350円に値上げした。

需要減は続くが、短期的に2015年産米の相場は上がるかもしれない。農協や米卸、小売業者などで構成される「米の安定取引研究会」は、3月、コメの取引価格の大幅な変動を防ぐ方策を報告書にまとめた。その中で、農家から農協がコメを集荷する際に支払う概算金の設定方法について、「過去5年のうち最高値と最低値を除いた3カ年の平均値とすることが望ましい」と提言した。

TPP締結でも国産米への影響は軽微か

このとおりになれば、過去5年で最も高値だった2012年産と、最も安かった2014年産を除く2010、2011、2013年産の3カ年平均で算出され、2015年産の概算金は2014年産に比べ1~2割上昇する。2011年産は東日本大震災の影響で価格が上昇していたためだ。日本で生産されるコメの4割を集荷する農協の概算金が上がれば、その後の流通段階の価格上昇は必至だ。

ただ、国産米価格は長期的な下落圧力にさらされている。TPP(環太平洋経済連携協定)による将来的な価格下落を予測する声も聞かれるが、円安や干ばつの懸念から3月の米国産米の政府から民間への売渡価格は60キログラム当たり1万3483円と、国産米価格より高い。TPP合意で主食用米が輸入枠拡大となっても、国産米価格に与える影響は限られるだろう。

「週刊東洋経済」2015年5月16日号<11日発売>「価格を読む」を転載)

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