「世界の50選」に上り詰めた名古屋の見違える変貌 「魅力に乏しい都市」から京都と並んで選出へ

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過去のクールジャパンの迷走などを考えると、行政が前面に出るよりも、民間ベースで名古屋の魅力発信を行い、行政は資金支援などサポート役に回ったほうがいいかもしれない。

実は市内では民間主導で街の賑わいを図ろうという新たな動きが出ている。栄ミナミでは2016年に地元5商店街組合が出資して「栄ミナミまちづくり株式会社」を設立。車道の一部を活用して、ベンチを設置することで行きかう人々が休憩したりイベントの場として活用できる空間を整備するパークレット事業やシェアサイクル、広告事業などを展開している。

パークレットはサンフランシスコ発祥の取り組みで、民設民営型のパブリックスペース創出により、通りに賑わいを生み出そうというものだ。同じような試みが名古屋でも実践されているのだ。

名古屋
栄ミナミのパークレット(筆者撮影)

民間主導で盛り上げる

また、毎日47万人が乗り降りする名古屋の副都心・金山駅(JR東海 名古屋鉄道 名古屋市交通局)の一帯では、2021年に金山好きなメンバーが集まって「金山駅前まちそだて会」が発足した。

駅周辺の企業や個人が集まって会議を繰り返し、金山を「交通拠点」から「交流拠点」へと進化させる取り組みを行っている。音楽フェス開催、グルメ情報発信、寺での体験会、街づくりに向けたチャレンジ応援プロジェクトなど多彩な活動を繰り広げている。

こうした民間主導のまちづくりで新たな賑わいスポットが増えていけば、外国人旅行者にとっても、名古屋が他の大都市にない魅力的な街と映る可能性が高い。トリップアドバイザーに多くの口コミが寄せられている大須商店街はその一例かもしれない。そういう意味では、インバウンドが比較的少なかった名古屋にはまだ伸びしろがある。「国際都市NAGOYA」をめざす名古屋の挑戦は始まったばかりだ。 

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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