「冷えたビール、涼しい部屋」が血圧に危ないワケ ミスター血圧に聞く「夏にやってはいけない事」

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そして、どんなときに、何をすると、どれくらい血圧が上下するのかは、人それぞれです。とくに「何を食べたか」ということの影響は大きく、翌日の血圧に影響します。

血圧コントロールの第一歩は「測るだけ」

どんなときに、何をすると、どれくらい血圧が上下するのか。これを正確に知るために、私は365日24時間、血圧計を腕につけて血圧を測る生活を、もう35年以上続けています。24時間測り続けると、実にいろいろなことがわかってきます。

私の患者さんにも、できれば毎日、朝晩測って血圧の変化をみて、自分の血圧の傾向をつかむことをお勧めしています。私のように24時間計測する必要はありませんが、長期にわたってしっかり測り続ければ、いつ何をしたときに血圧が上がるのかわかるようになるので、自分の血圧をコントロールできるようになります。だから患者さんには毎日朝晩測って手帳につけてもらっています。ちゃんと記録している患者さんは、だいたい半年ぐらいで血圧が安定してきます。

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「レコーディングダイエット」というダイエット法があります。体重を計るだけの非常にシンプルな方法です。家計簿をつけると、それまで意識していなかった無駄遣いに気がつくのと同じように、毎日体重を量っていると、太る原因になっている食事の習慣や生活スタイルがはっきりと見えてくるというものです。レコーディングダイエットで本当に減量できたという人は少なくないようです。

運動や食事制限がツラくて減量をあきらめていた人も、「量るだけ」なので毎日ラクに続けられること、そして、自分で問題点に気づいてモチベーションを上げていけることが成功のカギなのでしょう。

血圧のコントロールも、レコーディングダイエットと同じです。「測るだけ」でコントロールできるようになります。健康診断で血圧が高いから食生活を変えるようにとお医者さまから厳しく指導をされ、がっくりしている人もいるのではないでしょうか。そんな人には、ぜひ血圧のレコーディングを始めてほしいと思います。

やり方はシンプル。とにかく測って書くだけです。まずは3日、それができたら3週間、続いたら3カ月、気がついたら1年……。そんなふうに続けられるといいですね。はじめは朝1回だけでも測ってみてください。週に1日、休日に1回、測るだけでも、血圧が毎回変化することに気がつきます。そこで、なぜ血圧が上がったり下がったりするのかを考えてみてほしいのです。

もし途中で挫折してしまっても大丈夫。またやる気が出てきたら、その日から始めればいいのです。頑張りすぎないことも、継続の秘けつです。明日の朝からでも血圧を測ってみましょう。きっとみなさんの血圧コントロールの強い味方になってくれるはずです。

渡辺 尚彦 高血圧専門医、医学博士

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わたなべ よしひこ / Yoshihiko Watanabe

高血圧専門医。日本歯科大学病院内科臨床教授、早稲田大学客員教授、聖光ヶ丘病院顧問、前東京女子医科大学東医療センター内科教授。専門は高血圧を中心とした循環器病。1952年、千葉県木更津市生まれ。1978年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業、1984年、同大学院博士課程修了。1995年、ミネソタ大学時間生物学研究所客員助教授として渡米。1987年8月から連続携帯型血圧計を装置し、以来、365日24時間血圧を測定。現在も引き続き連続装着記録更新中。楽しく、わかりやすい指導には定評がある。『ズボラでもみるみる下がる 測るだけ血圧手帳 』(アスコム刊)など著書多数。

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