「冷えたビール、涼しい部屋」が血圧に危ないワケ ミスター血圧に聞く「夏にやってはいけない事」

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では、心臓が急に冷やされるとどうなるか。心臓が冷えるということは、心臓の血管が縮むということ。当然、血管が縮むと血圧が上がります。急激に血圧が上がると、次のような症状が出てしまいます。まず頭が重く感じます。頭痛やめまいが起きます。動悸が激しくなったり、吐き気が起きたり、手足のしびれが出たりすることもあります。場合によっては、呼吸が苦しくなります。

しかも、夏の暑さと冷えたビールの組み合わせが、さらに恐ろしいことを引き起こします。先ほどお話ししたように、夏は血圧が下がりやすくなっています。気温が上がることで血管が拡張すること。それにくわえて、体温を調整するために熱を体の外に逃がさなければならず、そのときにも血管が開きます。同時に体の水分が外へ出ていき、体内の水分が減っていきます。体内の水分が減ると血液の水分量も少なくなるため、血液が濃くなり流れが悪くなって、血圧がさらに下がりやすくなります。

もともと血圧が下がりがちな夏に、突然キンキンに冷えたビールを飲むと血圧は急上昇します。血圧の急上昇を繰り返すと、もっと恐ろしいことが起きます。脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるのです。だから夏、暑いからといって、冷たいビールの飲み過ぎや氷の食べ過ぎは、絶対に避けてください。冗談ではなく、命を縮めてしまいます。

血圧はほんのちょっとしたことでも上昇する

暑いところから冷房の利いたお店や部屋に入って急に体を冷やしても、血圧が上がって、狭心症のリスクが高まります。

私の患者さんに血圧を日常的に測ってもらっている人がいるのですが、こんな経験を話してくださいました。夏の暑い日、買い物に行ったスーパーで、冷凍食品コーナーに立ち寄ったとき、「ちょっと寒いな」と思って血圧計を見たら、上の血圧がいきなり192まで上がっていたそうです。ふだんの生活のなかで、暑い場所から寒い場所に移動しただけで、血圧は急上昇するのです。

このように、人の血圧は敏感です。ちょっとしたことで、すぐ上がります。たとえば、よく知られているのが、白衣を着たお医者さんを見ただけで血圧が上がる「白衣高血圧」です。反対に、診察室では正常血圧なのに、自宅で測ると高くなる「仮面高血圧」の人もいます。そういう人は、一般的に早朝や仕事中に高くなる傾向があります。花粉症の人は花粉の時期になると、鼻が詰まって血圧が高くなります。

こんなに敏感な血圧ですから、もちろん測り方によっても数値が変わります。一般的に血圧は、家や病院で安静にして測ることになっています。でも、そもそも血圧は常に変化するもの。冷房の利いた部屋に入っただけでも血圧は上がります。トイレで用を足しただけでも、お風呂に入っただけでも急上昇します。また、前日の夕食で塩分を摂り過ぎたとか、汗をかくのがイヤだから水分を控えたとか、そんなことでも血圧は変化します。

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