北海道新幹線「札幌車両基地」、設置場所の盲点 札幌駅より先の高架上に建設、旭川延伸に支障?

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札幌からの延伸構想がまったくないわけではない。1973年に制定された新幹線の基本計画では、北海道新幹線の始点は青森市、終点は旭川市と定められている。法律で定められた整備計画として建設が進む青森―札幌間と異なり、札幌―旭川間は基本計画のまま手付かずの状態だ。もし、将来札幌―旭川間が整備計画に格上げされることになったら、札幌から旭川に向けて新幹線の線路を延ばす際にこの場所に車両基地があることが支障になりかねない。

この点について、鉄道・運輸機構の担当者は、「新幹線の基本計画で旭川が終点となっているのは承知しているが、法律上の手続きが進んでいるわけではなく、どう延伸するかは決まっていない段階だ」と話し、旭川延伸計画とは距離を置く。

新幹線の基本計画を整備計画に格上げしようという動きは近年、各地で活発化している。現行の整備新幹線計画はひと区切りがつこうとしている。新幹線のない四国は政財界が一丸となって2014年頃から新幹線実現への取り組みに動き出した。東北ではフル規格による奥羽・羽越新幹線の早期実現を目指し、山形県や秋田県が2016年から要望活動を活発化させている。旭川もこうした動きに遅れまいと、2021年3月に北海道新幹線旭川延伸促進期成会を発足させた。

旭川側はどう考える?

同期成会は、札幌―旭川間の整備計画路線への格上げに向けた調査の実施や、整備新幹線予算の拡充と地方公共団体の負担を軽減するための財政措置の拡充などを国に求めている。

新幹線札幌駅 建設現場
新幹線札幌駅の建設工事現場(記者撮影)

そのような状況で、札幌車両基地の位置が延伸の支障になりかねないことをどう考えるか。期成会事務局の担当者に尋ねると、「札幌車両基地の位置の変更は要望していない」とのことだった。まずは、整備計画への格上げに向けた調査を実施するための予算措置を講じてほしいというのが期成会の立場だ。

旭川延伸でどの程度の輸送人員が見込まれ、どれだけの投資効果が見込まれるかは未知数だ。そもそも国費を投入して調査を行うためには旭川延伸を期待する声が高まっていることが不可欠である。今後、旭川の地域住民の間で新幹線についての理解が進んできたとき、札幌車両基地の存在は彼らにどのように映るだろうか。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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