北海道新幹線「札幌車両基地」、設置場所の盲点 札幌駅より先の高架上に建設、旭川延伸に支障?
車両基地は雪対策としてすべてを防雪上家で囲う。地上から防雪上家までの高さは最高で22mとなる。札幌駅側から近い順に、車両を留置する着発収容庫、仕業検査庫、保守基地が縦に並ぶ構造だ。着発収容庫には列車を収容する線路が2つあり、仕業検査庫では2編成の列車を検査することが可能だ。延床面積は約2.5万平方メートルで函館の車両基地と比べると小ぶりだ。
札幌―苗穂間の距離は約1.9kmで、現行の札幌駅の東側に建設中の新幹線札幌駅の駅舎と外観上は連続する一体の建物となるため、札幌―苗穂間のほぼすべての区間が高架上の建造物で結ばれることになる。完成すればさぞかし壮観だろう。
防雪上家の外壁の色や素材については未定で、「周囲の景観や環境に配慮し、地域の皆様の声を聞きながらデザインを検討する」と鉄道・運輸機構の担当者は説明する。高架橋・防雪上家の工事は2027年度末に完了し、その後は設備工事などを経て札幌延伸開業に合わせた2030年度末の完成を目指す。線路と市街地の建物に挟まれた細長い空間で建設するため、難工事が予想される。
なぜ細長い形になった?
では、なぜこのような細長い形状の車両基地になったのか。車両基地の苗穂側は苗穂駅と隣り合わせの位置まで達している。苗穂駅の北側にはJR北海道の苗穂工場が隣接し、車両の検査や修繕を行っている。苗穂工場の敷地面積は19.6万平方メートルとやはり広大だ。だったら無理に高架上に細長い車両基地を建設せずとも、苗穂工場の一部を新幹線の車両基地として活用してもよいのではないか。
この点について鉄道・運輸機構の担当者は「2012年に札幌延伸の工事計画が認可された時点で、車両基地はほぼこの位置で決まっていた」と話す。「ほぼ」というのは、認可後に新幹線ホームの位置が駅の東側に変更になったことに伴い、車両基地の位置も若干変更されたからだ。
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