伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変

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CTC株の買い付け価格は1株4325円。公表資料によれば、7月7日に伊藤忠が提示した買い付け価格は3800円(6日の終値比6.77%のプレミアム)だ。その後の交渉で、価格は4000円、4080円、4090円とじりじりと引き上げられ、7月31日には4200円(前営業日の終値比19.69%のプレミアム)を提案した。

それでも首を縦に振らないCTC側に対して、伊藤忠側は「これ以上引き上げるのは困難」といったん通知したものの、翌8月1日には4325円(7月31日終値から20.07%のプレミアム)を提示して「応諾」となった。

伊藤忠による子会社のTOBを巡っては現在、係争中の案件がある。2020年のファミリーマートへのTOBでは当初1株2600円を提示したものの、その後、コロナ禍による環境変化を理由に2000円まで引き下げ(特別委員会は2800円が適正価格と主張)、結局、2300円に引き上げた。

今年3月、元株主のファンドから買い取り価格決定の申し立てを受けた東京地方裁判所は1株2600円が妥当などとする判断を下し、ファミリーマートが東京高等裁判所に抗告している(「安すぎた」ファミマTOB、伊藤忠との攻防の全内幕)。

「考え方の開きはずいぶんあった」

今回、「引き上げ困難」の通知からわずか1日でCTCの買い付け価格が引き上げられた背景について伊藤忠は「交渉上の判断」(広報部)とだけ回答。鉢村CFOは説明会で、「CTCとわれわれのCAGR(年平均成長率)に対する考え方の開きはずいぶんあった」と明かしたうえで、「最終的に合意した4325円は、今後の(CTCの)成長と合致する計算にはなっている」と述べた。

買い付け価格については伊藤忠側が折れた形となったが、ではなぜ、そこまでして伊藤忠はCTCの非公開化にこだわったのか。

鉢村CFOは「情報産業分野の大きな成長率、市場の評価、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の高さを伊藤忠に取り込んでいく」と話した。CTCの完全子会社化は、5~6年前から議論を続けてきた案件だったが、「IT分野は2024~2027年にかけて成長率が大きく伸びる」(鉢村氏)という見通しが背中を押したようだ。

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