ジャニーズ問題、国連が突き付けた4つの重大懸念 「静観する」では済まなくなった取引企業はどう動く
国連作業部会の提言は強制力のあるものではないが、外圧としての影響力は十分に大きい。ジャニーズ事務所と関係がある企業にとっても、「他人事」では済まされなくなっている。
今後想定されるいくつかの展開
ジャニー氏の性加害問題は、今後も容易には収束しないだろう。今後の大きな動きとしては、以下のことが想定される。
まず1についてだが、筆者は国連作業部会の記者会見はもちろん、その直後の「当事者の会」の記者会見も全て視聴したが、「当事者の会」はかなり戦略的に動いていることがうかがえた。一方で、当事者としての切実な思いを熱く語っており、その声は世論を動かす力を持っていたように思う。
今後、まだ声を上げていない被害者はジャニーズ事務所の特別チームではなく、「当事者の会」に連絡をしてくる可能性も高い。ネットワークはさらに拡大していくことが想定される。
次に、2についてだが、本件が日本で問題化したのは、海外メディアであるBBCのドキュメンタリーだった。今後も忖度や圧力と無縁の海外メディアが積極的に報道して、それが日本に逆輸入される可能性が想定される。
日本のメディアが積極的に報じなくなったとしても、それで問題が鎮静化するとは限らない。
2024年開催予定の「ワールドカップバレー」において、参加国からの抗議により、予定していたジャニーズグループの起用が取りやめになったという報道も出ている。企業のタレント起用においても、すでに「外圧」は働き始めている。
3については、上述の通り、国連作業部会が政府主体での被害者救済を呼び掛けている。これまで政府は、法整備等の包括的な対応を行っていたが、当案件については「個別の事業者の問題」として、独自の対応は講じていなかった。
すでに立憲民主党は個別にヒアリング活動等を行っているが、国連作業部会の提言を経て、政府も個別対応へと動き始める可能性もある。
「当事者の会」も、状況を進展させるために、国内外のさまざまな組織に働きかけを行っていくことになるだろう。
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