ジャニーズ問題、国連が突き付けた4つの重大懸念 「静観する」では済まなくなった取引企業はどう動く

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企業は、本問題に対して、今後どのような向き合い方をすべきなのだろうか?

記者会見の4つのポイント

国連作業部会の会見は、日本の政府と企業の人権問題に関する広範なものだったが、記者の質疑応答はジャニーズの問題に始終しており、本問題に関する日本の記者の関心の高さがうかがえた。

特にテレビ局は、本問題をこれまで積極的に報道はしてこなかったが、現場レベルでは、「報道したい」という意識は強いようにうかがえた。

ジャニーズ性加害問題で国連人権理作業部会が会見(写真:つのだよしお/アフロ)

さて、本記者会見において、ジャニー氏の性加害問題について重要なポイントは下記の点である。

1. ジャニーズ事務所側の調査に対して、透明性・正当性に疑念があることが示された
2. 政府主体での被害者への救済の必要性が訴えられた
3. 「メディアがもみ消しに加担した」可能性が言及された
4. 被害が数百人に及ぶ疑いがあることが言及された

「推移を見守る」と表明してきたメディアやスポンサー企業にはこれまで、「ジャニーズ事務所は再発防止特別チームを作って対応している最中だから、報告まで待とう」というのがしばらく静観する根拠としてあった。しかし、国連作業部会の会見で、特別チームの対応に対して疑義が示され、その直後の「当事者の会」の会見でも、実際に特別チームのヒアリングを受けたメンバーによって対応の不備を指摘されている。

静かに見守っているだけでは、事態は解決へと向かわない懸念も出てきている。

記者会見を受けて、これまでこの問題の取り扱いに積極的でなかったテレビ局も報道を行うようになってきている。今後、メディアが十分な報道を行わなければ、国際的な批判も浴びかねなくなっている。

報道が増えてくると、ジャニーズタレントをCMに起用している企業のリスクも大きくなってくる。起用していること自体に対する風当たりが強くなるだけでなく、ジャニーズ事務所に関するネガティブな報道がされた直後にジャニーズタレントが出演する企業CMが流れる確率も高くなり、CM効果の低下につながる懸念もある。

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