「120周年イベント」に見るハーレー人気の秘密 7万3000台のハーレーと13万人のファンが集合

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第2次世界大戦中こそ商品開発に遅れが見られたものの、その後は「エレクトラグライド」などのグランド・ツアラーや、コンパクトな「スポーツスター」を投入してバリエーションを拡大、タンクのグラフィックに現代アートを思わせる工夫を凝らすなどコスメティックにも配慮して人気を定着させていく。Vツイン・エンジンのメカニズムも着々と進化させていった。

とはいえ、いつも順風満帆だったわけではない。1960年代の終わりには販売実績の悪化から、園芸機器などさまざまな機械産業を手掛けるアメリカン・マシン・アンド・ファウンドリー(AMF)への身売りを余儀なくされたが、1981年には創業家を含む経営陣がMBOで独立経営を取り戻した。

その後、海外から優秀なグランド・ツアラーやスポーツバイクが参入してきても軸をぶらさず、伝統を守り、品質にこだわったバイクを作り続けた結果が、現在の繁栄に結びついているのだ。

街中に轟音響く120周年イベント

ミシガン湖のほとりの野外ステージでは音楽フェスも開かれた(写真:Harley-Davidson)

5年に1度開催される「ハーレーダビッドソン・ホームカミング・フェスティバル」は、毎回アメリカ全土、あるいは世界中から熱烈なハーレーファンが自らのバイクで訪れる、音楽とモーターカルチャーを軸としたイベントだ。120周年の今回はひときわ盛大だった。

初日の木曜日からさまざまなハーレー乗りがハーレーダビッドソン・ミュージアムの近くに集まってくる。ここで交流を深めつつ、ミュージアムで歴史にひたろうと言うわけだ。来場するハーレーは、グランドツーリングファミリーを中心とした、巨大なカウルとサイドバッグを持つ車がほとんどといっていい。

日本ではハーレーといえば映画『イージー・ライダー』に登場する、長大なフロントフォークを持ち風防は備えないチョッパー・スタイルのイメージが強いが、アメリカ全土から集まる生粋のファンはおそらく何台ものハーレーを所有し、その中から最もクルージングに適している車でミルウォーキーを訪れるのだろう。年式的には2000年代のものが中心になっているのではないだろうか。

いかにもハーレー乗りといったファッションの参加者も多い(写真:Getty Images for Harley-Davidson)

イベントに来る人々は、“いかにもハーレー乗り”といったいでたちが多い。ハーレーのロゴ入りジャケットにデニムのパンツ、マッチョというか貫禄のある体格の人がほとんどだ。たまに大きなハーレーを乗りこなす小柄な女性を見つけるとホッとしたほどだ。ヘルメットを装着していないライダーやパッセンジャーも少なくなく、いかにもアメリカという感じがする。

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