同時に、このような「まだ解決されていない課題」を解決すれば、社会へのインパクトはもちろんのこと大きく、事業として飛躍する可能性があるのです。
トレードオフの見つけ方
それでは、トレードオフはどのようにして見つけるのでしょうか。
まず、「不安解消の先にある制約の発見」があります。トレードオフがある状態とは、「不満を解消することによって、新たに生じる不満がある」ものです。
これを解消したヒット商品としては、ユニクロのヒートテックがあります。おしゃれな人には、冬でも「着膨れしたくない。おしゃれでスマートに」という願望があります。ですが、実際に薄着をすれば寒い。これを解消したのが、「薄くても暖かい」ヒートテックでした。ひとつの不満が解消された状況を思い浮かべて、それに伴って生じる不満を想像するのです。そうすると、取り組むべき課題が見えてきます。
2つ目は、「不満解消をあきらめている理由を探し出す」ことです。トレードオフとは、誰もが解消したいと思っているものの、無理だとあきらめているものです。
先に紹介したワコールの大きな胸を「小さく見せるブラ」は「大きな胸を小さく見せたい、でも女性らしさが失われてしまうのはいやだ」という、女性があきらめている願望に注目しました。
3つ目は、「シーンを明らかにする」です。不満が生じる場面を詳しくイメージしてみることです。先ほど紹介したアキレスの「俊足」は、「カーブを転ばずに走りたい」と「全力で走りたい」という願望をかなえたわけですが、「運動会」の徒競走で「カーブを走る」という場面に注目することで見つけることができます。
ただ、トレードオフを見つけたとしても、乗り越えることは簡単ではありません。
次回は、トレードオフを乗り越えるアイデアをどのように創り出すかについて、お話させていただきたいと思います。
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