大きな胸を「小さく」見せるブラが売れたワケ イノベーションのカギは"矛盾"の解決

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同時に、このような「まだ解決されていない課題」を解決すれば、社会へのインパクトはもちろんのこと大きく、事業として飛躍する可能性があるのです。

トレードオフの見つけ方

それでは、トレードオフはどのようにして見つけるのでしょうか。

まず、「不安解消の先にある制約の発見」があります。トレードオフがある状態とは、「不満を解消することによって、新たに生じる不満がある」ものです。

これを解消したヒット商品としては、ユニクロのヒートテックがあります。おしゃれな人には、冬でも「着膨れしたくない。おしゃれでスマートに」という願望があります。ですが、実際に薄着をすれば寒い。これを解消したのが、「薄くても暖かい」ヒートテックでした。ひとつの不満が解消された状況を思い浮かべて、それに伴って生じる不満を想像するのです。そうすると、取り組むべき課題が見えてきます。

2つ目は、「不満解消をあきらめている理由を探し出す」ことです。トレードオフとは、誰もが解消したいと思っているものの、無理だとあきらめているものです。

先に紹介したワコールの大きな胸を「小さく見せるブラ」は「大きな胸を小さく見せたい、でも女性らしさが失われてしまうのはいやだ」という、女性があきらめている願望に注目しました。

3つ目は、「シーンを明らかにする」です。不満が生じる場面を詳しくイメージしてみることです。先ほど紹介したアキレスの「俊足」は、「カーブを転ばずに走りたい」と「全力で走りたい」という願望をかなえたわけですが、「運動会」の徒競走で「カーブを走る」という場面に注目することで見つけることができます。

ただ、トレードオフを見つけたとしても、乗り越えることは簡単ではありません。

次回は、トレードオフを乗り越えるアイデアをどのように創り出すかについて、お話させていただきたいと思います。

山口 高弘 GOB Incubation Partners代表取締役、キャリア大学パートナー

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やまぐち たかひろ / Yamaguchi Takahiro

元プロスポーツ選手、19歳で不動産会社を起業、3年後に事業売却し大学へ。卒業後、野村総合研究所入社。独立起業支援インキュベータ。企業内起業においても多くの事業立ち上げ、企業の新商品、サービス、事業開発に携わる。2014年、GOB-IPを創業し、現在に至る。

主に0→1および1→10フェーズでのインキュベーション実績が豊富。アパレルメーカーの新ブランド開発(同種カテゴリーで過去最高の売上を記録)、国内最大級メディアプラットフォーム戦略アドバイザー、売上約100億円インターネットベンチャー経営者への事業スーパーバイズなど。

GOB-IPでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、事業化支援、キャンプ等を実施している。

キャリア大学ではインキュベーションプログラムの開発および学生への事業創出にかかわるメンタリングを担う。

前職野村総合研究所では、主にイノベーション創出をテーマに新規事業開発支援を展開。内閣府若者雇用戦略協議会委員など政府委員就任歴多数。著書多数。

GOB Incubation Partners:http://gob-ip.net/blog/

Mail: takahiroasa0909@gmail.com

Twitter: takahiroASA99

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