国連も調査「ジャニーズ問題」に企業はどう対応? CMスポンサー企業や日テレ、電通に尋ねた
人権デューデリジェンスは、自社の活動が人権に負の影響を与えていないか、リスクを特定して対応する取り組みのことだ。自社事業だけでなく、取引先が抱える人権リスクについても丁寧に調べることが求められている。
このことは国連が2011年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」に明記。日本政府も指導原則に則って2022年にガイドラインを策定した。
では、ジャニーズ問題において、企業はどう対応しているのか。ジャニーズタレントをCMに起用するスポンサー企業や広告代理店の電通、「24時間テレビ」でもジャニーズタレントを起用する日本テレビなどの8社に見解を尋ねた。
書面回答してもらう形でヒアリングした。「取引先企業で児童への性加害問題が起きたとした場合、自社が対応する必要のある人権問題として捉えるか」「性加害の問題についてジャニーズ事務所に問い合わせや確認を行ったか」などを質問した。
対応の有無を明かした企業は少数
各社の見解は「性加害・性暴力を容認しない」という点ではそろっていた。だが、対応の有無まで明らかにしてくれたのは4社にとどまった(8社の回答詳細は4ページ目に掲載)。
そのうち、事務所に問い合わせや確認を行ったと答えたのは、損害保険大手の東京海上日動火災保険、日本テレビ、P&Gジャパン。次のようにコメントした。
「各種問い合わせを対面含めて実施している」(東京海上日動)
「弊社はジャニーズ事務所と双方のコンプライアンス担当者も含め、数回にわたり対話を行っている。同様の問題が二度と起きないよう強く求めている」(日本テレビ)
「弊社がビジネスパートナーに期待する基準への再認識を求めるべく、弊社よりジャニーズ事務所に本件の問い合わせを行うとともに、(遵守事項をまとめた)ガイドラインを再度共有している」(P&Gジャパン)
問い合わせ等は行っていないと答えたのは、飲料大手のアサヒグループホールディングスだ。「事務所の発表内容のとおり、ジャニー喜多川氏が故人であることからすべての事実を確認することが難しい状況のため。一方で、報道内容が事実であれば、誠に遺憾」とコメントした。
国連の指導原則にのっとれば、広告にジャニーズタレントを起用している企業は、「事務所に対して徹底的な事実調査等の要請を行い、合理的な範囲で外部への説明を行う責任を負っている」(オリック東京法律事務所の蔵元左近弁護士)。