第2に、援助の目的に合致した使用となるか否かは、単に機材供与の国際約束で義務付ければ解決する問題ではない。相手国軍隊に供与機材をその目的に合致した形で使用してもらうためには、当該軍隊がプロフェッショナルな能力を構築するために必要な訓練や助言と組み合わせた援助が重要となる。
そのためには、OSA単体ではなく、他国軍隊への教育、助言のため従来行ってきた能力構築支援とセットで行うべきだろう。実効性向上のため、軍事部門改革の助言を伴うことも必要となる。警戒監視など自衛隊の活動との連携や、アメリカによる援助との組み合わせも考えられる。
第3に、ODAでは国際協力機構(JICA)が事業管理を行っているが、軍事専門性を要求されるOSAの実施を担えるかはわからない。OSAの実施では防衛省等も連携することとされているが、自衛隊に専従部隊は存在しない。
専門的なOSAの実施体制の構築を
戦闘を主目的とする実力組織で安全保障援助を中核的な活動として位置付けることは難しい一方、片手間では実効性は向上しない。専門的な実施体制の構築は不可欠だ。
最後に、機材供与を行うためには、対象国軍隊に、その機材の性能面の有用性を認識してもらう必要もある。その観点からは、国内の防衛産業の強みを特定し、相手のニーズと適合させる努力も必要である。
OSAは、自らにとって望ましい安全保障秩序を形成するための積極的な手段である。内向きの議論に終始せず、他国の先行事例も参照し、より広い戦略的視野で検討すべきだ。そして、息の長い継続的努力が何よりも重要となる。
(小木洋人 アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)/地経学研究所 主任研究員)
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