新「Eクラス」に漂うメルセデス・ベンツのプライド 妥協のない電気自動車の時代への「橋渡し」

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あるいは“Bridge”という言葉には、妥協とか中途半端といった言葉を想起させる部分もあるように思う。

実際、前述のとおりおそらく内燃エンジンを積むモデルをこの代で終了し、そしてクルマとして一層デジタライゼーションを推進していくつもりのメルセデス・ベンツにとって、新型Eクラスは位置づけとして過渡期的な部分を否定はできないはずだ。

しかしながら新型Eクラスは、どこにもそうした妥協、中途半端と思わせる要素が見当たらなかった。むしろあらゆる部分でクルマはまだこんなにも進化できるのかと圧倒してきたのである。

11代にもわたって磨き上げてきた境地

実際のところ電動化もデジタル化も、ブランドを問わず抱えている課題であり、またクルマの将来の向かうべき姿であることは間違いない。その行き着く先がある程度見えてくるまでは、リソースをセーブするため現行のハードウェアをできるだけ延命させるという手だってないわけではなく、実際にそうしているブランドもある。

しかしEクラスはそうはならなかった。現時点で到達しうる最も高い次元にまで、しっかりユーザーを導く。そうすることこそが、ブランドとしてまさに次の時代への橋渡しになると、彼らは考えている。

それが自動車なるものを発明した会社の、そして11代にもわたって磨き上げられてきたクルマのプライドであり、これまで培ってきたユーザーとの交わりが自ずと導いた境地なのだろう。この驚愕の新型メルセデス・ベンツEクラス、日本にはおそらく2024年初頭の導入となりそうだ。

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島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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