受信料収入激減も?韓国「公共放送」大ピンチの訳 受信料の別途徴収で本社には"弔花"が届く事態

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ただ、広告収入は減少傾向にあり、2012年にはKBS全財源の44%ほどを占めていた広告収入は連続して減少し続けており、2021年には2705億ウォン(約270億円)と18.6%まで縮小している。

KBSの受信料の徴収方法をめぐる論争はこれまでもあった。4年前の2019年秋の国政監査でも、「KBSが受像機のない世帯からも受信料を徴収しているのは放送法違反」だとする意見が出て、当時あった大統領官邸「青瓦台」の国民請願の掲示板にも、受信料の徴収方法を別途徴収にしてほしいという趣旨の請願スレッドも立った。

値上げ提起も不発に終わる

2021年にはKBSが2500ウォン(約250円)の受信料を3840ウォン(約384円)に引き上げることを提起し、物議を醸した。当時、KBS側からは受信料の引き上げ理由について物価高に合わないこと、収入減などが挙げられ、放送通信委員会は通過したが、世論の反発もあり、据え置きされた。

そもそも受信料から得る収入が増加していることもそのときに明るみに出た。2011年には受信料による収入は5778億8000万ウォン(約577億8800万円)だったが、引き上げ案が提示された2021年には前年度の収入は6790億2400万ウォン(約679億0240万円)と1000億ウォン近くも増えていた。

2022年度も6935億ウォンと微増している。韓国では少子化が叫ばれて久しいが、1人世帯の増加により、電気料金に含まれた受信料の徴収もそのぶん増加したと分析されている。

世論がKBSの受信料に敏感に反応する背景の1つに挙げられるのがKBSの放漫経営だ。ここ数年は赤字を出し続けており、今年度も1〜3月までにすでに425億ウォン(約42億円)の赤字を出している。

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