「愛情不足のまま育った子」が大人になり陥る末路 親に余裕がない中、ひずみが子どもに向かう

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最近、飲食店などでの迷惑行為を撮影した動画をSNSに載せ、炎上して問題になった事件が相次ぎました。回転寿司チェーンで醬油さしに直接口をつけたり、カラオケ店でソフトクリーム機器から直接食べたりといった不快で迷惑きわまりない動画、カラオケ店の消毒用スプレー缶にライターで引火させるなど危険行為の動画など、キリがありません。

また、ホームレスに嫌がらせをして笑いものにするような動画も多くアップされ、問題になりました。社会的弱者を攻撃するという許されない行為です。こういった迷惑行為動画はまたたく間に拡散され、行為者が特定されていきました。

満たされていない承認欲求と歪んだ自己顕示欲

なぜ彼らは、わざわざこのような迷惑行為を世間に知らしめようとするのでしょうか?

中には、仲間内の「悪ノリ」の延長線上でやったことで、ここまで拡散されて大きな問題になると思っていなかったという人もいます。迷惑行為自体がダメですが、SNSに対する認識の甘さが感じられます。仲間内にのみ見せたつもりでも、それが切り取られるなどして拡散されれば一気に広まり、止めることができません。

もちろん、多くの人に拡散されることを狙ってやっている人もいます。視聴数を稼ぐために迷惑行為を動画にしている迷惑系ユーチューバーも然り。人が見て不快になるような迷惑行為動画は、手っ取り早く視聴数を稼げるという考えです。

いずれにしても、背景には歪んだ自己顕示欲が見えます。目立つためなら、話題になるためなら、手段を選ばないというのは普通の感覚ではありません。

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歪んでしまうのは、承認欲求が健全に満たされていないからです。家庭内でじゅうぶんな愛情を受け、承認されていれば、わざわざ悪いことをして注目を集めたいとは思わないはずです。

すべてを家庭の問題につなげるつもりはありませんが、歪んだ自己顕示欲の裏には、生育歴の中で「承認されてこなかった」背景があると考えます。

なお、メディアでは通常これらの問題を伝えるとき「迷惑行為」と表現していますが、私はこの言い方はよくないと考えています。れっきとした犯罪だからです。回転寿司チェーン「スシロー」をはじめ多くの企業が受けた損害に対し、刑事・民事の双方から厳正に対処すると発表しました(威力業務妨害罪、器物損壊罪、賠償責任など)。

「軽い気持ちでやったイタズラでした、ごめんなさい」で済む話ではありません。こういった世間を騒がすニュースは、家庭でも1つの材料として「絶対にやってはいけないことだ。犯罪だよ」と教えてあげてほしいと思います。

出口 保行 犯罪心理学者

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でぐち やすゆき / Yasuyuki Deguchi

1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人を超える。2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年からは同学部長を務める。内閣府、法務省、警視庁、各都道府県庁、各都道府県警察本部等の主催する講演会における実績多数。現在、フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演しているほか、各局報道・情報番組において犯罪解説等を行っている。

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