南阿蘇鉄道、7年ぶり「全線再開」までの長い道のり 三陸鉄道の事例を参考に復旧スキームを構築

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南鉄も三鉄にならい上下分離方式を取り入れ、鉄道施設・用地を沿線自治体が新たに設立した南阿蘇鉄道管理機構に譲渡し、同機構が南鉄に無償で貸し付けることになった。施設の維持管理費用や設備更新費用も同機構が負担する。

三鉄の場合、2011年7月に大畠章宏国土交通大臣(当時)が現地視察に訪れ、「(復旧の)予算を付ける」と望月正彦社長(当時)に耳打ちしたことが復旧の道筋の始まりだった。南鉄も、「2016年6月に石井啓一国交大臣(当時)が視察に訪れ、現地を調査してもらったことが、復旧が事実上決まった瞬間だった」と草村社長は振り返る。

国の新制度適用の第1号

国の支援の枠組みも変わった。それまでは復旧費用の半分を国と沿線自治体が負担し、残り半分を鉄道事業者が負担する仕組みだったが、上下分離など一定の条件を満たせば、復旧費用を国と自治体が半分ずつ負担し、さらに自治体負担分については国が交付税措置することで実質的な負担は国97.5%、自治体2.5%となる仕組みが新設された。三鉄のケースでは特例として地元負担がほぼゼロだったが、今回は新制度であり、南鉄が適用第1号となった。

南阿蘇鉄道全線再開日 混雑する列車
全国から集まった乗客で満員の列車が何本も立野―高森間を往復した(記者撮影)

南鉄の全線開業はこれにとどまらなかった。「もともとあった姿に戻すのではなく、創造的な復興によって地元の発展につなげたい」(蒲島郁夫知事)。地元では以前から南鉄のJR豊肥線肥後大津駅までの乗り入れを要望してきた。熊本から南鉄沿線に鉄道で向かう場合、肥後大津止まりの列車が多く、肥後大津と立野の2回にわたって列車に乗り換える必要がある。もし肥後大津から南阿蘇鉄道に直通できれば、沿線住民や観光客の利便性向上につながる。また、肥後大津は熊本空港にも近く、空港から直接阿蘇方面に向かう観光客にも便利だ。JR九州も快諾し、構想は一気に具体化した。

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