JR只見線、トキ鉄「雪月花」特別運行の全舞台裏 「磨けば光るローカル線の横綱」を光らせるには
片道8万円のツアーが瞬時で満員
梅雨の中休みという言葉がぴったりの青空となった6月17日の上越妙高駅、朝8時15分過ぎ。直江津から回送されて到着した「雪月花」2両編成の赤い車体が、北陸新幹線の足元、えちごトキめき鉄道(トキ鉄)のホームに横付けされた。
「雪月花」は2023年6月17・18日、2日間限定の特別運行として上越妙高から直江津、長岡、小出経由で只見線に入り、会津若松までを片道ずつ、1往復した。只見線は2011年6月の豪雨で途中3か所の鉄橋が流失するなど存廃が論じられる被害を蒙り、その後6年の検討と協議により鉄道復旧を決定、4年の工事期間を経て昨2022年10月1日、11年ぶりに全線運転を再開した。それから8か月、これからの只見線の方向性を占う挑戦的列車として、「雪月花」の臨時運行が行われたのである。
運行区間は、上越妙高―直江津間の10.4kmだけがトキ鉄線で、直江津から会津若松まで241.6km(宮内―長岡間往復6.0kmを含む)はJR東日本の路線だ。トキ鉄が発案して日本旅行とJR東日本の協力を仰ぎ、“日旅”の主催旅行として同社が観光バス同様にトキ鉄から雪月花を貸し切り、団体ツアーとして只見線を走らせるもの。日旅はツアー客から旅行代金をいただき、トキ鉄にクルーの人件費と車両使用料を、JR東日本に区間分の運賃とグリーン料金、そして車内で供される飲食物の代金を各店に支払う構造だ。
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