JR只見線、トキ鉄「雪月花」特別運行の全舞台裏 「磨けば光るローカル線の横綱」を光らせるには

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そうした臨時シフトは2023年も採られているが、一方で一般列車3往復だけという根本的な姿勢にも疑問が投げ掛けられている。すなわち朝、午後、夜の3本では途中下車しての沿線観光は無理に等しい。それに、復旧に巨費を投じたのに沿線の恩恵となるサービス改善は一切なく、JRの負担のみ軽減されたというのでは納得できない、との声である。もっと有効活用しないと――と仕向ける声は国費の出どころたる国交省東北運輸局からも聞こえ、昨冬、同局が発案したモニターツアーも実行された。

こうした流れの中、復活を協議した段階から観光路線として「海の五能線、山の只見線」を目標にしてきた検討会議では“リゾート列車”も俎上に上る。JRはしかし、これも車両不足の事情を抱えて二の足を踏む状況だったため、会議メンバーの鳥塚氏がトキ鉄が持つ「雪月花」を貸すと提案した。新潟県の知事や運輸局の後押しもあったと言う。

歓喜の只見駅にはキーマンの姿

当初、トキ鉄社内でも、隣接路線でなくJRの組織上も新潟支社を越えた部分が中心となる只見線はハードルが高いと訝る声が多かった。ところが実際に東北本部に話を持参すると、JR東の執行役員である本部長が大いに賛同するところとなり、すぐに新潟支社にも話が繋がり、一気に実現へと向かった。今度はJRの組織力が功を奏した。

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今回の雪月花只見線運行について、少し棘のある言い方をすれば、及び腰のJRは他社に“してやられた”わけである。これによってJRが発奮し、只見線に次なる観光列車を走らせたりすれば、狙いが的中することになる。こうした経緯から、だれもが今回の出来事に諸手を挙げた訳ではないとの想像もつく。ただ、乗務員にしても、通過してきた駅のJR社員にしても多くが溌溂として見えたし、只見駅にはキーマンと聞く東北本部長が駆け付け、鳥塚氏と達成感に満ちた顔で交歓する姿があった。

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鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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