2人が暮らした家は荒れていた。過去にイーブイが配信したゴミ屋敷やモノ屋敷と比べればその量は少ないものの、生活ゴミが散乱し、大量の本が無造作に積み上げられていた。風呂場やキッチンの様子を見る限り、掃除もできていなかったようだ。
家具や生活用品、そして調味料まで、2人の部屋にそれぞれ同じモノが置かれていた。一緒に住んでいながらも、実際は別居状態だった2人の関係がうかがえた。
「物を捨てづらいっていうのもあるんやと思います。この家は5階でエレベーターがないので、一回モノを持って上がってしまったらそれを下ろすのもしんどいですし。亡くなる前、体が弱っていたっていうこともあって、多分ゴミ出しとかもしんどかったかなって思います」(次男)
長男は心に病を、長女は身体に病を抱えていた。
この家には長女がしばらく1人で暮らしていたという。長男は別のところで1人で暮らしていたが、管理会社から「(長男の)家賃が滞納されている」と保証人になっていた次男のもとへ連絡が入った。
「兄ちゃんの家に行ったら飯も食べていない状態だったので、そこから姉に一緒に住んでもらっていて、たぶん7年くらいになると思います。困っている同士なんやから手を取り合ったらいいのにと思ったんですけどね」(次男)
言われなければ、人が亡くなった場所とはわからない
片付けに入ったスタッフは総勢8名。貴重品を分けながら片付けをしていくが、捜索物は次男があらかた取り出していた。部屋は引き払うことになるので中のモノは全撤去となるが、ゴミ屋敷とモノ屋敷の中間のようなちらかりようで、仕分けに時間がかかる。部屋で仕分けをする4人と、ゴミを外に運び出す4人に分かれて作業はスタートした。スタッフの1人が部屋に入ったときの様子について話す。
「死後数時間しか経ってないので匂いはありませんでした。生ゴミが腐った臭いとかはありましたけど、言われなければ人が亡くなった場所だとはわからないです」
長女が亡くなった日時についてはイーブイも知らないが、臭いがないということはその死からも時間が経っていないように思える。すると、長男の自殺は衝動的なものだったのかもしれない。
玄関から入ってすぐの和室が長男の部屋、奥の和室が長女の部屋だ。長女の部屋からは、思い出の品がたくさん出てきた。4人がまだ子どもだった頃の学校の通知表や卒業アルバム、学校で描いた絵も出てきた。昔はここが子ども部屋だったのだろうか。
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