兄と姉を亡くした次男には大きな後悔が残った。
「頼ってくれればどうにかなったんかなとか、生きているときに僕が顔を出していたら何か変わってたんかなとか、やっぱり突然のことだったので、ああしていたらよかった、こうしていたらよかった、もうそれしかないですね。困っていたらそこで言うやろうし、逆にもう誰を頼ったらいいかわからへんみたいな人にもし兄弟がおるんやったら、言ってくれたら兄弟なんやから何とかするし、そこで一言なかったからすごいモヤモヤするし、元気やったら元気やでっていう一言があるだけで、もうそれだけで大丈夫だと思う」(次男)
「無責任だ」と他人を非難するのは簡単
次男が2人の住む家に入ったのは、6年ぶりのことだったという。それだけ後悔するのであれば、なぜ6年間も家に行かなかったのか。そんな意見が出てきそうだ。しかし、イーブイの二見社長は「そんなの第三者がわかることじゃない」と言う。
「たとえば孤独死した母の家に数カ月帰っていなかった子どもを非難している人がいたとして、遠方に住んでいる可能性とかは考えないのかなって思います。あなたは親が近くに住んでいるかもしれないけど、北海道と沖縄で離れて暮らしている親子だっています。結局、問題を考える頭になっていないんです。その人が想像しているよりも問題は遥かに複雑なんです。後からいろいろ言う人がいますが、そんなの言った者勝ちじゃないですか」
連日、あらゆる問題を抱えたゴミ屋敷の住人と接している二見社長だが、最近、あらためて考えさせられるような出来事があったという。
国内初の内密出産を報じたニュースを見たときのことである。赤ちゃんを産んだ10代の女性が匿名を希望し、母親の名前を記さずに出生届を出す方針を病院が固めたというものだった。
二見社長も初めにこのニュースを見たときは、「なんで自分の子どもなのに頑なに名前を隠すんだろう」と疑問に思ったそうだ。しかし、精神科医の知人にその話をすると「それは考えが足りないだけだ」と言われた。精神科医によれば、このような事例は少なくないという。
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