連休明けの日本株、いったいどうなるのか 再上昇か大幅下落か、相場はどっちだ

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また、昨年後半に進んだ円安がピタリと止まった一方、原油価格が上昇し始めている点なども、先々に業績に与えうる、これ以上の期待感を高められない要因の一つです。

さらに株主還元策についてもハードルが高くなってきました。5月は自社株買いの発表が多くなる季節ですが、足元の決算でも(1)増配、(2)自社株買い、(3)株主優待制度の新設がなければ、決算発表後に「失望売り」になるケースは少なくありません。2万円に至る過程では、株主還元策への期待感がいかに相場を支えてきたかがわかります。

企業側の発表数値と市場の期待をどう埋めるか

現状では「企業側の発表数値」と「市場の期待」との間にギャップがあり、このギャップをどのように埋めていくかが、今後の焦点です。

結局、市場の期待値が下がり決算銘柄の下落圧力が弱まるか、それともこれから決算を発表する企業が市場の期待を満たす内容を提示できるのかです。もし前者であれば日経平均は当面は上値が重く、1万8000円台前半(意識するのは2007年高値1万8300円)までの調整が避けられそうにありません。一方もし後者であれば、調整は短期間で終わり、早々に2万円を回復する展開ではないでしょうか。

その場合の上値の目安は、ITバブル時の高値を上回り、1996年高値(2万2750円)と2000年高値(2万0833円)の中間をとった、2万1790円処が重要なフシとなります。

さて、連休明けは「勝負のポイント」がすぐに到来しそうです。ズバリ5月8日の金曜日に発表される米国の4月雇用統計です。また8日は国内でも決算集中日となり、トヨタ自動車など注目の決算も控えています。現在のところは、決算通過後に急落する銘柄が多くみられることから、決算に期待した先回り買いは限定的でしょうし、決算結果が良くても全体相場に影響を与えることもないでしょう。

欧州の株式市場に乱れが出始めた点なども警戒が必要ですが、欧州よりも、NYダウ平均が気にかかります。というのも、史上最高値である3月2日高値(1万8288ドル)を起点に、三角もち合い(高値を切り下げる一方、安値を切り上げる株価パターンで、何らかの材料で上か下かに強く動き出す可能性が高い)を形成中で、今後上昇か下落のどちらに、動き出す可能性が高いからです。筆者は何がきっかけとなって動きだすか、に着目していますが、やはり前述の雇用統計が株価の方向を決める可能性が高そうです。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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