アマオケが作り上げる「名古屋マーラー音楽祭」

名古屋市で全国でも例を見ない独特の「音楽祭」が進行している。作曲家・指揮者として知られるグスタフ・マーラーの没後100年の節目である2011年から来年に掛けて行われる「名古屋マーラー音楽祭」だ。

音楽祭の舞台は、名古屋市の中心部にある愛知県芸術劇場。今年は「第一部」として交響曲第8番を除くマーラーの交響曲が月1回のペースで同劇場のコンサートホールで演じられる。「第二部」は2012年7月15日と16日。この2日間は、滅多に演奏されることにない第8番「千人の交響曲」が同劇場の大ホールに響き渡る予定だ。

名古屋マーラー音楽祭が独特な点は、演奏しているのがプロのオーケストラではないということだ。複数のアマチュアオーケストラ(アマオケ)が1回ずつ参加することで成り立っている。名古屋市に本拠を持つ名古屋市民管弦楽団、名古屋シュピールハーモニカーなどのほか、三重県の伊勢管弦楽団も参加する。

すでに演奏会は第3回までを成功裏に終えた。定員1800人のコンサートホールが、1月16日の第1回演奏会(オストメール・フィルハーモニカー)では約1000人、2月27日の第2回演奏会(デア・フェルネ・クラング)では約1200人、そして3月6日の第3回演奏会(新名古屋交響楽団)は客席が満席となった。この週末4月24日には第4回演奏会(名古屋ムジークフェライン管弦楽団)が予定されている。

同音楽祭をコーディネートしたNPO法人名古屋音楽の友の西村尚登理事長は「ふだんはほとんど交流がないアマオケどうしがこの音楽祭によって繋がった。オケと合唱団も繋がり、さらに地元出身の優秀なソリストたちとの出会いもあった」と語る。

西村理事長は地元の中高一貫校の名門、東海学園交響楽団の顧問。その卒業生が大学を卒業してから所属しているアマオケがネットワーク化したことで、今回の音楽祭が成立した。共通プログラムやポスターなどの制作費は、地元大手企業からの寄付や広告で賄っているが、これも人的ネットワークのたまもの。東海学園の卒業生が数多く就職していることから、自然な形で地元企業へもネットワークが広がっていくのだ。

名古屋音楽の友は、名古屋マーラー音楽祭のためにつくられたNPO法人。しかし、マーラー音楽祭だけで終えるつもりはないようだ。「今回の音楽祭を通じて築かれた人的ネットワークの中から、新しいアイデアが次々と出てくるだろう。気軽に音楽を楽しめる場として、名古屋に定着させていければ、と思う」(西村理事長)。

(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)

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