やまぬ芸能人への誹謗中傷が問うTwitterの功罪 ryuchellさんの死に改めて考えるSNSの攻撃性

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Twitterと似たコミュニティを形成できる他のサービスは、どのような設計になっているだろうか。メタ・プラットフォームズが先日サービスを開始し、すでに1億アカウントを超えたThreadsの場合を見てみよう。

まだ機能は豊富とは言えないが、拡張計画も公開されており、望まないやり取りを抑制する機能はInstagramとも共有している。

さらにThreadsならではの要素として、Twitterでは表示されるリツイート(Threadsでは再投稿)数が表示されない。リツイート数は、投稿に対する注目度を測る1つの指標ととらえられるが、必ずしも賛同の意思を表すわけではないうえ、炎上の遠因にもなる。

Twitterは具体的な改善計画を

繰り返しになるが、Twitterを名指しすることに特別の意図はない。しかし誹謗中傷の投稿がTwitterで多くみられる以上、プラットフォーマーである彼らが行動しなければ、誹謗中傷による被害者を減らすことはできないだろう。

今後、痛ましい事件が起きないためにも、運営するX社には具体的な改善ロードマップを含めた計画の表明を求めたい。

最後に、誹謗中傷によって自らを否定したくなる気持ちになった場合、あるいは身近な誰かが自分を見失いそうになっていたならば、まずはスマートフォンの電源を切り、しばらくは生身の声の中で暮らしてほしい。顔がない相手ではなく、顔が見える友人と対話の機会を作ってほしい。本当に大切なものは、ネットの中ではなく、目の前の現実の中にある。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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