キーウの書店本棚から撤去されたロシア語書籍 ソ連批判作家の記念館にも「脱ロシア化」の矛先

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インタビューに答えるグビアヌリ館長
インタビューに答えるグビアヌリ館長(筆者撮影)

リュドミラ・グビアヌリ館長(59歳)が、館が置かれている状況を説明した。

館長によれば、「ブルガーコフが、(ウクライナはロシア帝国の一部であるべきとする)ロシア帝国主義的考え方を持っていたことは確かだが、ウクライナ嫌い(Ukrainophobia)の人ではなかった」と言う。

「ブルガーコフのアイデンティティは複雑。ロシア語で執筆したからロシアの作家と見ることができるが、キーウで人間形成されなければ、世界的な作家にはならなかっただろう。彼の一部は、間違いなくキーウ・アイデンティティだった」

しかし侵略後、「ブルガーコフをめぐる議論は、YesかNoか、白か黒か、というふうに、われわれに明確な回答を求める状況になってしまった」。

作家が生きた時代背景を示す展示に

「今、多くの人々が、ブルガーコフのウクライナ語、文化、独立、革命、独立闘争に関する考え方に疑問を持っている。記念館も窓を開け、こうした意見に対応する必要がある」と館長は言う。

そのために、記念館では現在、展示の変更を検討している。

例えばペトリューラへの評価に関して言えば、「ブルガーコフはペトリューラを無教育の人間と見なしているが、われわれはそうでないことを歴史として示す」と館長は言う。

つまり、小説家ブルガーコフの個人的な足跡をたどるだけではなく、その時代の歴史的背景も示すことで、全体の展示を今のウクライナ主流の考え方に近づける試みだ。

次ページ迫られる「第2の見直し」
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